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TSMC劉・前会長が語る「TSMCが次に目指すもの」 国際政治の荒波を乗り越え「世界のTSMC」になった秘訣

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劉はインタビューの最後に、董事長就任以来、最も印象深いエピソードを教えてくれた。それは2021年、新型コロナが台湾で急拡大した際、TSMCで進められたワクチン援助計画だった。

「あの時、警察、軍人、高齢者のほとんどはワクチンを接種できた。しかし若者はNothing。実は危機的な状況にあったのだ」

 

若者のためにコロナワクチンを買い付けた

劉は台湾の若者のために、世界で供給不足に陥っていたワクチンを手に入れるべく決心を固める。国際的な戦略物資となったコロナワクチンは、契約締結に至るまで複雑困難を極めることは想像にたやすい。

多国間で協調し、契約書の各種条件と一言一句についてもつねに気を配らなければならないからだ。当時、社員は多国間協議による時差問題から、超過勤務の状況に陥っていた。しかし、それでもやり抜いたのだった。

何度も協議を重ね、1文字もミスがない契約書ができあがったのは深夜の頃。1分でも時間が惜しい社員らはできたばかりの契約書を、劉の台北の自宅に届けてきたのである。劉が契約書にサインしたのはすでに深夜1時のことだったという。

「本当に感動した。社員が毎日深夜1時、2時まで残業し、台湾の若者にコロナワクチンを届けたい一心で作り上げたのだ」

 

使命感が責任を突き動かし、全力で完成させた——。劉は当時のことを、当時の社員らの思いをしみじみと語ってくれたのだった。

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