ふるさと納税にも採用「遺伝子検査キット」の危うさ 専門家が自粛を求めても広がる子ども向け検査

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今年3月には、日本医学会などが民間の遺伝子検査について「科学的根拠が極めて不十分」として、政府に規制のあり方を検討するよう提言した。提言書の検討委員会で委員長を務めた信州大学医学部の福嶋義光特任教授は、こう話す。

「子どもの能力は遺伝子よりも育った環境など後天的な要素の影響のほうが大きい。検査の責任者となる医師の名前や科学的根拠となるデータも明示されていない。医療行為ではなく占いレベルだ」

厚労省と経産省の暗闘

今年4月には、東京都内の保育園が「子育てに役立つ」として子どもの遺伝子検査を受けることを呼びかけ、保護者の3割が応じていたことが毎日新聞の報道で発覚した。これを受けて加藤鮎子こども政策担当相は「子どもの教育・保育を担う施設が遺伝子検査を推奨することは極めて慎重にしてほしい」と注意喚起したばかりだ。

にもかかわらず、なぜ、子ども向けの遺伝子検査が広まっているのか。その背景にあるのが、遺伝子検査をめぐる厚生労働省と経済産業省の長年の暗闘だ。

現在、医療機関が実施する遺伝子検査は厚労省が所管している。使用する検査キットも同省の承認が必要で、ほかにもさまざまな規制がある。一方、経産省が所管する民間の遺伝子検査は自主規制のみ。企業の判断に委ねられている。

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