TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(前編) 中国とインド国境「最果ての村」目指した結果…

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それから2〜3時間ほどバスに揺られると、車両が停まった。スムド検問所でスピティ地区からキンナウル地区に入るための、制限地域許可証を申請するためだ。

制限区域に入り「最も危険なルート」へ

この辺りはインドと中国(チベット自治区)の国境近くに位置しているため、国防上および政治的に非常に繊細な場所である。チベットからの亡命者がいないかをチェックしているのだ。

また、原生的な植物や絶滅危惧種の野生動物が残っているため環境保護の観点からも非常に重要な地域。外国人訪問者はパスポートなどの身元証明と事前に申請した入域許可証を提出しなければならない。

費用は10日間で30ドル。しかし、申請は拍子抜けするくらい簡単で、30分ほどで終わった。身元が証明されていれば、難なく通過できる。

スムド検問所
スムド検問所にいたインドの軍人(写真:筆者撮影)

それからバスが進むと、道はますます険しくなり、これまでの道のりで最も危険なルートに差し掛かった。

インドと中国(チベット自治区)の国境にそびえるヒマーチャル・プラデーシュ州の最高峰、標高6791メートルのレオ・プルギル山。その雄大な山を抱くザンスカール山脈を削り造られた車1台分しか通れない断崖道路を、車幅ギリギリで走る。

この一本道は頻繁に崖崩れが起きるらしく、つい数日前も通行止めになっていたと乗客から聞かされた。

崖道
標高4000メートルは優に超える危険な崖道(写真:筆者撮影)
崖道
ビデオを撮影しようとするが恐怖で手が震える(写真:筆者撮影)

標高が4000メートルを超えると、息苦しさが増してくる。だが、不思議なことに、その危険が増せば増すほど、心が高揚していった。

多くの旅人が足を踏み入れない辺境へと向かっていることが、冒険心を駆り立てている。どうやら、スピティの旅が、自身の内面に静かな変化をもたらしつつあるようだ。

チベット自治区
チベット自治区近辺の広大な山々(写真:筆者撮影)

それから数時間、いくつもの山や谷を越え、下り道に入ると、やがて、雄大な山々に囲まれた小さな村が見えてきた。

GPSで現在地を確認すると、ナコ村だ。バスは村から結構離れた場所に止まった。

*この記事の続き:敏腕TVマンが見た!「マジで秘境!」チベット仏教の村(中編)
*この記事の続き:敏腕TVマンが見た!「マジで秘境!」チベット仏教の村(後編)

後藤 隆一郎 作家・TVディレクター

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ごとう りゅういちろう / Ryuichiro Goto

1969年大分県生まれ。明治大学卒業後、IVSテレビ制作(株)のADとして日本テレビ「天才たけしの元気が出るテレビ!」の制作に参加。続いて「ザ!鉄腕!DASH!!」(日本テレビ)の立ち上げメンバーとなり、その後フリーとなり「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)「トリビアの泉」(フジテレビ)をチーフディレクターとして制作。2008年に映像制作会社「(株)イマジネーション」を創設し、「マツケンサンバⅡ」のブレーン「学べる!ニュースショー!」(テレビ朝日)「Google政治家と話そう」(Google)など数々の作品を手掛ける。

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