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上場会社の社外取締役には「みちょぱ」を指名せよ 株主総会前に正しい企業統治とは何かを考える

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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社外取締役の役割は前述した「社長の首に鈴をつけること」「議論や思考をオープンにして、風通しを良くする」ぐらいのことだ。それ以上でも、それ以下でもない。実際、アメリカにおいても、2001年のエンロン事件後、社外取締役はお友達同士が指名しあっているだけだ、ということになり、ほとんど期待されなくなった。過度な期待は禁物なのである。

コーポレートガバナンスの本質とは何か

社外取締役の議論だけではない。日本では、ほとんどすべてのガバナンス議論が間違っている。

たとえば、2007年のブルドックソースとスティールパートナーズの案件では、裁判所すら間違っていたのだが、株主総会で多数決を経ていれば、何をしてもいいかのような議論が行われている。

あのときは「買収防衛策として、スティールパートナーズは、保有していた株主を会社に売却しなければならない」という株主総会での多数決での決定が有効であり、結局スティールパートナーズは撤退した。

だが、株主総会で50%超を持っていれば何でもできる、というのであれば、株主総会は、少数株主の権利、利益を収奪する場にすぎなくなる。だから、第2次大戦後、アメリカの法律を明治時代のドイツ的商法に接木した時代から(現在の会社法になる前から)、そのようなときは、株主総会で反対した株主については、買い取り請求が認められているわけだ。

このスティールパートナーズの場合は、暴騰した株価でスティールパートナーズの保有株式は強制買い取りさせられた結果、ほかの株主は大きな損失を被ったのである。それに気づかず賛成している株主もどうかしているが、それに反対した株主は、スティールパートナーズと同じ扱いは受けられなかったのである。これは、株主平等原則に反している。

いずれにせよ、問題は、株主総会での多数決は、ガバナンスにとって、むしろいちばん危ない状態であり、そうならないように、少数株主を法律で守ることこそが、コーポレートガバナンスの本質なのである。

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