上場会社の社外取締役には「みちょぱ」を指名せよ 株主総会前に正しい企業統治とは何かを考える

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これは、何も私の説ではなく、私の指導教員であったアンドレ・シュライファー(ハーバード大学教授)らが20世紀末に確立した、学界でのコンセンサスなのである。

「偉大な師」と「堕落した弟子」という事実は別にして、実際、このコンセンサス(ガバナンスとは、少数株主を法律で守ること)が確立してしまったから、21世紀になって、コーポレートガバナンスの理論や考え方は、学術的なテーマでなくなったのである。日本、あるいは、そのほか途上国で、現実にガバナンスがどのように行われているか、という実証的な研究だけが残ったのである。

日本のコーポレートガバナンスが悪いのは誰のせい?

では21世紀になっても「日本のコーポレートガバナンスは悪い」、と言われているのはなぜなのか。悪いとすれば、その原因は何か。誰のせいなのか。

シュライファー教授らの研究によれば、法制度が非常に重要な役割を果たす。そして、新興国、途上国では、少数株主の権利保護が十分になされていない。だから、その整備が21世紀になって世界中で進んだのである。世界銀行もIMF(国際通貨基金)も、この方針に従った。1990年代末のアジアの金融危機後のガバナンス改革は、まさにこのとおりに進んだのである。

しかし、すでに日本は法制度上の問題はほとんどない。なぜなら、1947年にアメリカの商法を移植しているから、法制度はばっちりなのであり、株主の保護は十分になされている。

あえて言えば、アメリカに比べて、株主の権利が強すぎるのが問題であるぐらいだ。たとえば、同国では、株主総会で株主提案をできる事項はかなり限定されているし、また提案できる株主の条件も厳しい。だが、日本では、ほぼ何でも提案できるし、ほんのわずかの株式保有でも可能である。それが、かつては、総会屋というものを生み出した。株主の強すぎる権利を悪用したのが彼らであり、21世紀におけるほとんどのアクティビストも、同様である。

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