確かに手渡しされたおにぎりにハフハフ夢中でむしゃぶりついていると、お腹だけでなく心も満たされる気分になってくるから不思議だ。
「湯気」がごちそう!
神谷さんがおにぎりを「手渡し」する理由はもう一つある。
「炊きたてのおにぎりの熱感が大事だと思ってるんですね。
にぎりたての熱々のおにぎりを手で持って、『湯気』が逃げないうちに、湯気ごと食べてもらいたい。湯気がごちそうだと思っているんです。
そのためにみなさんに食べていただく時間から逆算して、ごはんの炊きあがりの時間を決めています」
前編にも登場したスペインの二つ星レストラン「ムガリッツ(MUGARITZ)」のシェフが来日し、神谷さんのおにぎりを食べたときのこと。
「しきりにご自分の喉を指して、『このおにぎりは喉ごしがいい。湯気が喉を滑っていく感じが非常にすばらしい』とほめてくださいました」
「熱々のおにぎり」のおいしさは、テクノロジーの力で食の可能性を広げる技術である「フードテック」の観点からも注目されているという。
「フードテックを事業の柱の一つとする会社の人たちが、私が拠点とする嬉野温泉和多屋別荘の『おにぎり 神谷』に私のおにぎりを食べに来てくれたんですね。
最先端技術の世界の人たちに私のおにぎりがどう響くか不安もあったけれど、みなさんたいそう喜んでくれて、その後も何度も嬉野におにぎりを食べに来てくださっているんです。
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