「"宇宙食"としても注目」おにぎりは凄い食べ物だ 炊飯器と旅する「にぎりびと」神谷さん(中編)

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
拡大
縮小

自分なりにスイッチが入るんですね。日常のおにぎりではない、非日常のおにぎりを食べてもらいたいから。大分の伝承料理研究家であった母は、『日常の食』を研究するために『非日常の台所だけの建物』を建てました。

非日常の格好だからこそ、ありふれたおにぎりにも向き合えると思っています。だからこそおにぎりで寿司を超えたいんです」

伝えたいのは「お米」のすばらしさ!

神谷さんが「おにぎり」にこだわる心底には「ある思い」がある。

「お米って日本人のアイデンティティだと私は思ってるんです。

たとえば今、東京とかでパンを買いに行ったら、300円、400円という値段でも全然普通ですよね。

でも、おにぎりが400円で並んでいたら『高い』と思いませんか? 私にはそれが日本と海外の格差を表しているように思えてならないんです。『ごはん』の扱いがぞんざいになっているんじゃないかと。

日本人であればみんな海外旅行・海外出張などでお米が長期間食べられないとつらいですよね。パックごはんや、それこそ炊飯器を持ち込む人もいるぐらいで。

ごはんというのはそのぐらい日本人の体にしみついている、日本人のDNAに刻まれているものだと思うんです。

歴史をたどれば、昔はお米が『石高(こくだか)』として財力や兵力の指標だったわけです。

であればもっとお米のすばらしさを見直してほしいと思うんですね。そのきっかけになってもらえばいいと思って私はおにぎりをにぎっているんです」

昨今は「糖質制限」流行りだが、ごはんを食べない若い人を見ると悲しくなってくるという。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT