「自分なりにスイッチが入るんですね。日常のおにぎりではない、非日常のおにぎりを食べてもらいたいから。大分の伝承料理研究家であった母は、『日常の食』を研究するために『非日常の台所だけの建物』を建てました。
非日常の格好だからこそ、ありふれたおにぎりにも向き合えると思っています。だからこそおにぎりで寿司を超えたいんです」
伝えたいのは「お米」のすばらしさ!
神谷さんが「おにぎり」にこだわる心底には「ある思い」がある。
「お米って日本人のアイデンティティだと私は思ってるんです。
たとえば今、東京とかでパンを買いに行ったら、300円、400円という値段でも全然普通ですよね。
でも、おにぎりが400円で並んでいたら『高い』と思いませんか? 私にはそれが日本と海外の格差を表しているように思えてならないんです。『ごはん』の扱いがぞんざいになっているんじゃないかと。
日本人であればみんな海外旅行・海外出張などでお米が長期間食べられないとつらいですよね。パックごはんや、それこそ炊飯器を持ち込む人もいるぐらいで。
ごはんというのはそのぐらい日本人の体にしみついている、日本人のDNAに刻まれているものだと思うんです。
歴史をたどれば、昔はお米が『石高(こくだか)』として財力や兵力の指標だったわけです。
であればもっとお米のすばらしさを見直してほしいと思うんですね。そのきっかけになってもらえばいいと思って私はおにぎりをにぎっているんです」
昨今は「糖質制限」流行りだが、ごはんを食べない若い人を見ると悲しくなってくるという。
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