映画「あぶない刑事」"前期高齢者"が大活躍の背景 ドラマや映画で中年・シニアの主人公が増えている

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今年の作品でも、おじさんが大活躍だ。ドラマ『不適切にもほどがある!』の小川市郎(阿部サダヲ)、スペシャルドラマ『GTOリバイバル』の鬼塚英吉(反町隆史)、そしてNetflixで世界的な人気を誇っている『シティーハンター』の冴羽獠(鈴木亮平)。鈴木亮平は前2人と比べると若めではあるが、原作は1980年代に連載された漫画だ。

彼らの共通点は、そのものずばり、“不適切”。炎上やSNSの批判を気にしない、セクハラ上等、エロスに積極的、言いたいことをはっきり言い、問題を解決するためならときにモノを破壊するのも平気。そんなやりたい放題の機動力が大きな武器となり、問題が収束していくのである。

コンプライアンス(コンプラ)でガチガチになり、言いたいことも言えない現代において、50代以上が持つ、さもすれば嫌われる性質でもある「遠慮のなさ、デリカシーのなさ」や「強引な行動」が、パワーの使い道によっては、閉塞感の風穴を空けるリーサル・ウェポンとなるのかもしれない、と考えさせられる。

「貫禄のあるボスが指示し、若手が行動」という図式も逆になってきている。いまや“あぶない”ことをするのは年上で、制御するのが若くして権力を持った年下なのだ。

『帰ってきた あぶない刑事』でも、自分の地位を活用し、2人をバックアップするのは、彼らの後輩で、現在は横浜港署の3代目捜査課長になっている町田(仲村トオル)だ。

コンプライアンスを乗り越えるための“妙案”

コンプラを気にせずコンテンツを作るには、それが緩かった時代のブームや当時のコンテンツを活用して、当時を生きた世代を主人公にし、「時代のせい」にするのがいちばん、という事情もあるのだろう。

そうすれば、オリジナルを知っている世代は懐かしみ、後の世代はツッコみながら、現代では成立NGなやり方にドラマとロマンを感じることができる。ノスタルジーというオブラートもあり、視聴者に前向きに届く。

そういった意味で、リバイバル作品は制作側、視聴者側両方のニーズを叶える、今後の重要なコンテンツといえる。『あぶない刑事』の舘・柴田コンビ、『GTO』の反町のように、主役を演じた俳優がカッコいい年の取り方をしている作品はなおさらだ。人生100年時代、「こんなふうになりたい」という目標となる。

今秋には、人気シリーズ『踊る大捜査線』の12年ぶりの新作も公開予定だという。主人公は、柳葉敏郎演じる室井慎次。あの岩のような信念を持つ「室井さん」が、この時代にどう風穴を空けるのだろう。柳葉の熱演が楽しみである。

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