「家族のためのものづくり」続ける父親エンジニア 自分の中でいかに当事者意識を育てられるか

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特定の人に刺さるものをある程度作り込んでいくと、50人、100人と人数が増えても共通化できそうな部分はどこにあるのかが見えてくると思います。

下記の『ハンドベル装置』がいい例です。当初は上下に動く取っ手にハンドベルを付けた装置(写真上)でしたが、障害当事者の子どもたちに使ってもらったところ「楽器ならギターが好き」「鍵盤が弾きたい」などリクエストが舞い込みました。

その都度、要望に応じているうちに「素人でも簡単に取っ手部分を付け替えられる“軸受け”があると使用シーンは広がりそう」となり、取っ手に改良をかさねました。

『ハンドベル装置』がの例
(写真:エンジニアtype編集部)

最初から大げさなものを作らず、プロトタイプは徹底的に一人にウケるものを目指せばいい。まずは「その人」が気に入るか否かを判断して、「ハマった」と思ったら本格的に作りこんでみたり、もう少し広い層にヒットするように要素を抽出・調整したりすればいいんじゃないかなと思います。

モジュール一つでも「自分が作った」と言えるか

おぎモトキ
(写真:エンジニアtype編集部)

ー人によっては「エンドユーザーが身近にいない」という開発物を担当しているエンジニアも多くいそうです。そうしたエンジニアがユーザー視点を心得るにはどうすればいいと思いますか?

やっぱり、使っているユーザーを直接見に行くことが一番の近道だと思います。よく、「ユーザーのことが分かる人に聞くといい」とも言われますが、人づてだと分からない部分が多い気がしています。

例えば、開発した製品のボタンが押しづらくて使いにくそうにしている姿を直接目にすると、申し訳ない気持ちに駆られるんですよね。

でも、そういう姿を見て初めて心の底から「ああ、そうか。性能じゃなくて、使いやすさが大事なんだ」と実感するわけです。うれしさも倍だけど、申し訳なさも倍になるといいますか……。

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