グーグル「楽しい職場カルチャー」が激変していた 「最高の職場」に広がる無気力と無秩序
10月のある日の午後、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるグーグルのオフィスのゲートに昼食から戻ったダイアン・ハーシュ・セリオーの同僚が社員証をかざすと、ゲートは開かなかった。この同僚はすぐに、自分が解雇されたことに気がついた。
ハーシュ・セリオーは間もなく、ケンブリッジにいた「グーグルニュース」のエンジニア仲間の大半が職を失ったことを知った。労働組合によると、ニュース部門の40人以上が解雇されたが、一部は後に社内の別の部署の仕事を紹介されたという。
大規模なレイオフ(一時解雇)の後も何カ月と人員整理が続き、従業員が神経をとがらせているグーグルでは、ハーシュ・セリオーのような経験がますます一般的になっている。
「次に誰が解雇されるのか」情報収集に必死
10人の現従業員と元従業員によると(一部は率直に話ができるよう匿名を条件にした)、レイオフによりプロジェクトの進捗に遅れが生じ、従業員たちはどの部署が影響を受け、次に誰が解雇される可能性があるのかを把握しようと情報収集に業務時間を費やしている。
それだけではない。今回のレイオフは、グーグルの職場文化に関するそれまでのイメージを覆すものになっている。創造性と既成概念にとらわれない思考が奨励されるグーグルの職場は、ありふれたオフィスというよりは、「いじくり回す人々」のコミュニティーと考えられてきた。楽しい、ほかとは違った種類の職場と考えられてきたわけだ。