「家族のためのものづくり」続ける父親エンジニア 自分の中でいかに当事者意識を育てられるか

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ロボット開発を本業にしているエンジニアに「自動ご飯食べさせロボット」を見せたら間違いなく「もっと滑らかな動きをさせよう。」と言い出すはずです(笑)このロボットを作る最終目的は、「こどもが自分でごはんを食べる事」なので、その目的に対して「滑らかな動き」がどの程度必要なのかを見極める事が大事だと思います。

それに、私が作っているおもちゃは、大部分がシンプルな技術でできているものです。以前作った『あいさつロボットハンド』だって、電気系を学んだ人にとっては基礎の範囲の技術でできています。

本業がエンジニアの人からすれば「モータを動かすだけなら簡単に作れる」「どうせなら、指を一本ずつ曲げれる様にしてもっと性能をあげた方がいい」となってしまいがちなんでしょうね。

大事な事は、簡単にすぐ作って、性能にこだわる前に、すぐに試すこと。

実際、「自動ご飯食べさせロボット」の時は、機械学習の作りこみに1カ月もかけてしまったことは大きな反省点でした。

息子がスイッチを押すことやロボットが好きなら、このアプローチでもよかった。ただ、息子はそこに興味があったわけじゃないので、無理にロボット技術に当てはめなくてもよかったんです。2日くらい試してみて埒が明かなければ、いち早く見切りをつける。そのくらいでよかったと思いますね。

あいさつロボットハンド
あいさつロボットハンドの進化版。もともと4個のボタンしかなかったものにマイコン『AM5Stack』(写真左手前にある黒いボタン)を用い、液晶付バージョンの進化版を開発中。「完成すれば、40種類のアクションから選べるようになります。これを完成させ、息子が使いこなせるようになるのが2024年の目標です」(おぎモトキさん)(写真:エンジニアtype編集部)

ー知識や経験がある分、空回りしてしまうことは多そうですね。

もちろん、試すこと自体はいいんです。ただ、プロトタイプの開発に1カ月もかけてしまうと、愛着が湧いちゃいますよね。そうなるとどうしても「ここまでやったんだから、何とか形にしよう」と思ってしまうのが人間の性。

企業のケースなら「市場の反応はイマイチだけど、せっかくお金をかけてここまで進めたんだから簡単にはやめられない」となったりすることも多いのではないでしょうか。

プロトタイプは徹底的に尖らせる

ー「ユーザー視点に立てていなかった」と悔やむ事態を避けるには、どんなことに気を付けるとよいと思いますか?

まず、開発過程をエンジニアには見せないことです(笑)

なんて冗談はさておき、愛着が湧いてしまう前に、なるべく時間をかけずにプロトタイプを作ってみることですかね。それも「この人」という特定の人の興味を刺しに行く設計で。

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