「家族のためのものづくり」続ける父親エンジニア 自分の中でいかに当事者意識を育てられるか

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ー反応は?

大当たりでした。思いもよらない激しい動きは息子の感情を揺さぶったようで、カオスボタンを何度も押して夢中になってくれました。

そんな風に喜んでくれるのはもちろんですが、息子の知的好奇心を刺激し、行動を促せたことが本当にうれしくて。ライフワークでもある「家族のためのものづくり」に大きな希望を感じました。

Maker Faire Tokyoのイベントでの展示風景
おぎモトキさんは息子以外にも、障害を持った子どもやその家族のためにおもちゃを提供する「家族のためのものづくり」活動を精力的に展開している。写真はMaker Faire Tokyoのイベントでの展示風景。「いろいろある自作プロダクトの中でもワンワンのおもちゃは一番人気です。障害を持っていようがなかろうが、子どもが何を面白いと思うのかは本質的には一緒なんだなと感じます」(おぎもときさん)(写真:エンジニアtype編集部)

エンジニアとしての知識が視界を曇らせる

ー一番身近にいる親が開発者でも予想が外れてしまうわけですね。「ユーザー視点に立つ」難しさを改めて感じます。ほかにも、意気込んで開発したものの「全然ウケなかった」開発物はありますか?

いっぱいあります(笑)。個人的にショックが大きかったのは「自動ご飯食べさせロボット」ですかね。

数年前まで息子は手の使い方が上手じゃなかったので、食事の際にスプーンでご飯をすくって口に運ぶことができなかったんです。

親としては少しずつ自力で食べる訓練をしてほしいけれど、本人は「難しい」「できない」と思い込んでしまって、食べさせてもらいたがる状態が続いていました。

それなら「すくって口に運ぶ」難しい動作は機械にやってもらえばいい。ロボットを腕代わりにすれば、自分で食べようという気持ちが湧くかもしれないと考えたんです。

今ほどAIが進化していない時期でしたが、ディープラーニングの物体認識技術を使って開発しました。カメラで口元までの距離を検出しながら腕代わりのアームで軌跡を描いて口元近くまでゆっくり持っていく。まさに腕の動きを再現するロボットアームです。

アーム部分がプルプル震えてしまう点はイケてないのですが、口元あたりまで食べ物を運ぶという目標は達成することができました。

顔に当たってしまう危険性を回避すべく、ゆったりとした動きで作動するし「これはいいぞ」と思いました。

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