日本車メーカーはなぜこんなに「お気楽」なのか EV軽視の姿勢が世界でシェアを奪われる結果に

拡大
縮小
自動車、トヨタ
4月に開催されたニューヨーク・モーターショーのトヨタ自動車のブース(写真:Bloomberg)

最近の3つのニュースは、電気自動車(EV)への反発からトヨタ自動車などの日本の自動車メーカーが、アメリカのデトロイトスリー(フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ=GM、クライスラー)と同様の衰退に陥る危険性があるのではないかという疑問を抱かせた。

シェアを奪われる日本メーカー

最初のニュースはスタンダード&プアーズからの情報で、テスラを購入したアメリカ人の40%が、トヨタとホンダを中心とする日本メーカーから切り替えたというものだった。

多くのテスラ車は高級車のような値付けがされているが、最も影響を受けた車種には、トヨタのカムリ・RAV4や、ホンダのアコード・CR-Vなどの中流層向けのモデルが含まれる。いったんブランドロイヤルティが失われると、それを取り戻すことは容易ではない。

2つ目のニュースは、中国での新車販売の25%がEVとプラグインハイブリッドで構成されている中、日本メーカーは販売面で影響を受けているというものだ。中国経済の低迷により、今年最初の3カ月間で自動車販売台数が減少したが、日本メーカーの落ち込みが最も大きく、前年比で32%も減った。

これに対して、アメリカとヨーロッパのメーカーの減少はわずか9%にとどまっている。世界最大の市場でシェアを失うことは良い兆候とは言えないだろう。

最後のニュースは最も衝撃的で、今年1月23日に掲載されたブルームバーグ記事によると、2022年に中国はドイツを抜いて世界第2位の自動車輸出国になり、今後数年で日本を追い抜く過程にあるという内容だ。記事中で、ある中国自動車メーカーは、早ければ今年にもその可能性があると語っている。

次ページ中国のシェアは3年で3倍に膨らむ予想
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT