勤勉が美徳の中国で「怠け者消費」が拡大する訳 家事よりも趣味や生活の質向上を重要視する人々
「懒人(レンニン)」は怠け者を意味し、勤勉を美徳とする中国では、以前はなかなか口に出しにくい言葉でした。しかし、時代の変化とともに、今はそれを自認して口にする人が増え、新たなトレンドとして消費を牽引しています。
本稿では、『2030年中国ビジネスの未来地図』を上梓した趙瑋琳氏が、「懒人消費(怠け者消費)」について解説します。
「怠け者消費」という新しい消費トレンド
筆者は今年3月に1年ぶりに出身地の瀋陽に帰りました。その際一番驚いたのは配達員の多さです。
町の中、朝からデリバリーの配達員の姿があふれます。マンションの敷地から一歩出れば朝食が食べられるお店があるのに、朝からデリバリーサービスを頼む人は相当いるようです。これは利便性を重要視する中国人のライフスタイルを物語っています。
実際、中国では家事などに時間を使うよりも、自分の趣味や生活の質の向上に時間と精力を投入したいと考える人が増加しています。
言い換えれば、金銭で時間と利便性を買う傾向が強く、それに応じる製品やサービスが相次いで生まれています。効率とスローライフを追求した結果、「怠け者消費」という新しい消費トレンドが形成されているのです。その有力分野は主に、スマートホームの分野と日常生活の利便性にかかわる分野の2つにあると考えられます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
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