勤勉が美徳の中国で「怠け者消費」が拡大する訳 家事よりも趣味や生活の質向上を重要視する人々

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縮小

①スマートホーム分野

まず、夫婦共働きで効率を重視する家庭も、自分磨きに時間を費やしたい一人暮らしの人も、掃除や料理、洗濯など家事からの解放に役立つ製品とサービスを求めています。そのため、テレビや冷蔵庫などのような大型家電に市場規模は縮小する傾向にありますが、ロボット掃除機や食器洗い乾燥機などスマートホーム関連市場は拡大し続けています。

中国の2021年の食器洗い乾燥機市場の売上高は、前年比14.4%増で100億元弱となりました。2019年から高い伸び率を実現してきたのですが、現在の2%の普及率を考えると、今後しばらくは2桁の増加をキープするでしょう。ロボット掃除機は現在、必ず購入する家電製品になっています。国産ブランドの参入で、よりリーズナブルで高性能の製品が提供され、その選択肢が増えています。

事例:スマートホームサービスで脚光を浴びる「預制菜」

スマートホーム関連サービスの1つとして、ここ数年、加熱するだけで食べられる、「預制菜(ユゥジチァ/あらかじめ作られた料理)」の人気が上昇していて、新たなビジネス領域として脚光を浴びています。特に行事やイベント、祝日に関連するニーズが多いです。

契機は中国人の春節の過ごし方の変化です。2000年代までの春節は、一家団欒の時間でした。親戚や知り合いが集まって一緒に普段よりも贅沢な料理を作って食べるのがメインで、百貨店も各種娯楽施設も休みだったのです。しかし経済発展とともに旅行やお出かけなど、春節の過ごし方は多様化し、百貨店も映画館などの娯楽施設も営業するようになっています。

そうした中、時間や手間をかけずに、おいしく贅沢な料理を作りたいと考える若者が急増しています。この需要に応えるために、従来の冷凍食品より作り立てに近い「預制菜」が登場したのです。現在は祝日以外の普段の利用も増え、市場規模が急拡大しています。同時に「預制菜」関連分野の成長性を見据えて参入するプレイヤーが増えているのです。

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