これに、失業者(6月の完全失業者は293万人)を加えると、合計で約660万人となる。日本の実質的な失業率は、すでに1割を超えているのだ。後で見るように、若年者については、現実の失業率がほぼ1割になっている。
雇用調整助成金と生活保護
前回推計した300万人(製造業の海外移転によって今後製造業から放出されると考えられる雇用者)を加えれば、1000万人近くになる。日本は、近い将来、失業率が17%程度、つまり、総労働力人口の6分の1が職を得られない状態になるのだ。
雇用調整助成金は、経営状態が悪くなった企業が従業員の雇用を維持する場合に、休業手当などの費用の一部を支給する制度である。
09年10月に申請受理事業所が8万4481件、対象者が197万人という最高水準を記録して以来、11年2月までは段階的に減少し、対象者は80万人になっていた。しかし、11年3月の東日本大震災後に急増した。これは、助成金の特例が拡充されたことによる。
11年4月は、申請受理事業所は6万2212件(前月比12・6%増)、対象者は183万人(同56・1増)となった。なお、5月は申請事業所が6万1901件、対象者が166万人余りと、4月を下回った。
この制度は、あくまでも臨時避難的なものであって、将来の状況を積極的に改善するものではない。日本経済が大きく落ち込んだリーマンショック以降、すでに3年近くになろうとしている。将来の展望なしにこれが継続されるのは、大きな問題だ。
また、生活保護受給者も急増している。厚生労働省「福祉行政報告例」によると、11年3月末の全国の生活保護受給者は202万人となった。200万人を突破したのは、戦後混乱期の1952年度以来のことだ。そして、統計を取り始めて以降では、51、52年度(各204万人)に次いで3番目に多い。受給世帯も146万世帯で過去最多となった。
生活保護の受給者が全国で最も多い大阪市では、市民の18人に1人が受給者だ。11年度一般会計当初予算に占める生活保護費の割合は17%にも達している。