前述のリーダーは、この昇進枠をきちんと取ってくる人だったのです。自分のチームで活躍したメンバーに対して、できるだけ昇進という形で報いようとしていました。
これも、リーダーにしかできない重要な仕事です。アピール力が弱いリーダーは、こういうとき昇進枠を勝ち取れなかったりします。
これは決して、無理やりメンバーを昇進させるということではありません。きちんと活躍していて、他の組織の候補者と横並びで見て甲乙つけがたいときに昇進枠を取ってくる、ということです。
決して尊敬できるところばかりのリーダーではありませんでしたが、この点では、確かに私も恩恵を受けましたし、これは自分もリーダーとして見習うべき点だな、と学びました。
そういうリーダーの下で仕事をすると、メンバーのモチベーションは間違いなく上がります。リーダーに恩返しをしよう、という思いを持ってチームに貢献してくれるメンバーも出てくるでしょう。
仲良し人事で評価を落とさない
一方で、反面教師のようなリーダーもいたので紹介しましょう。
そのリーダーは、自分の組織の若いメンバーを抜擢人事として、何人も早期昇進させていました。ただそれは、はたから見ると「?」がつくような昇進でした。案の定、彼らは「リーダーとして」機能しませんでした。完全な昇進ミスであることは誰の目にも明らかでした。
また悪いことに、その選ばれた人たちも、リーダーとよく一緒に飲みに行っている子飼いのメンバーなのではないかと見られてしまい、影で「仲良し人事」と揶揄(やゆ)される始末でした。
その後の顚末ですが、ミスマッチとなったリーダーの1人は、経営インパクトを与えるほどのトラブルを起こし、別のリーダーは、成果が出せないまま元のポジションに降格となりました。
このことからわかる教訓としては、リーダーとしてはまだ力不足で昇進基準に達していないメンバーを、自分に懐いているからと無理やり昇進させてはいけないということです。
周りに迷惑をかけるだけではなく、何よりもそのような昇進をさせたリーダー自身の評価が下がってしまうのです。
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