「最高のホテル」という好印象を下げる意外な原因 ホテルや映画のレーティングの知られざる罠

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それを聞いた後、参加者は実際に自分でチョコレートを味わって採点した。すると、最初のグループがつけた点数は、2番目のグループよりかなり低いものになった。また参加者に食べた感想を聞くと、低い点をつけた人は「まあまあ」や「ごく普通」といった中途半端な言葉を用いて味を表現した。

一方、2番目のグループの場合は、「ほんとうにおいしい」や「すごい」などの言葉を使うことがかなり多くなった。全員が同じ板チョコを試食したのに、実際に味わう前に知った数字によって、まったく異なる経験をすることになったわけだ。

あとから自分の経験の印象が変わる

では、それは逆でも言えることだろうか? すでに味わって自分なりの感じ方をしたのに、その後で他の人の数字の影響を受け、思いなおすことはあるのだろうか。

それもチョコレートを使って試してみた。100人に同じ新製品の板チョコを味わってもらい、その試食が終わった後で、半数には他の人たちの評価は平均で5より低かったと伝え、残りの半数には他の人たちの評価が平均で5より高かったと伝えたのだ。

結果は前の場合と同じだった――低い数字を見た人たちは自分でも低めの数字を選んで、中途半端な言葉を用いて味を表現し、高い数字を見た人たちは自分でも高めの数字を選んで、より熱のこもった言葉を使って表現した。

数字はあまりにも明確なために、私たちは何かを身をもって経験した後でさえ、その影響を受けて自分の経験の印象を見なおしてしまう

(翻訳:西田美緒子)

ミカエル・ダレーン ストックホルム商科大学教授

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Micael Dahlen

ストックホルム商科大学の教授。経済や幸福、福祉を中心に研究している。幸福や人生の意味、邪悪さ、テクノロジー、人間の行動などのテーマの本を執筆している。世界的に高く評価される講演者であり、ポッドキャストのホストで、自らを「Asktronaut(質問飛行士)」と称している。スウェーデンのストックホルム在住。

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ヘルゲ・トルビョルンセン ノルウェー経済高等学院(NHH)教授

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Helge Thorbjørnsen

ノルウェー経済高等学院(NHH)の消費心理学を専門とする教授。人間の行動や意思決定、とりわけテクノロジーがそれらに及ぼす影響に関心を持っている。幸福やウェルビーイング、行動経済学、イノベーション、広告などをテーマとして、研究や授業を行なっている。多くのビジネスやテック系のスタートアップ企業に関わっており、さまざまな企業や組織の会長や役員を務めている。ノルウェーのベルゲン在住。

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