「なんでも数値化」がもたらすばかげた競争意識 あらゆるものが測定され比較されるという悪夢

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点数やグラフの書かれた個人成績表
ありとあらゆるものがゲームの世界のようにポイント化され、容赦なく比較される世界では、競争心が煽られます(写真:もとくん/PIXTA)
営業成績やボーナスの額、テストの点数、年齢や体重、レーティングや「いいね」の数など、私たちはなんでも計測し、数値化する世界に生きている。
しかし、私たちの脳は数字に無意識に反応してしまうため、数字はあなたを支配し、楽しい活動や経験をつまらないものにし、他人との比較地獄に陥れ、利己的で不幸な人間にしてしまうという。今回、過剰な数値化がもたらしているさまざまな問題を明らかにし、その解決策を示した『数字まみれ:「なんでも数値化」がもたらす残念な人生』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

数字やポイントが競争意識を煽る

数字まみれ: 「なんでも数値化」がもたらす残念な人生
『数字まみれ: 「なんでも数値化」がもたらす残念な人生』(東洋経済新報社)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

「私がゲームデザイナーとして利用する道具箱の中で最も大切にしているのは、ポイントシステムです。それはゲームを遊ぶ人に、何を大切にすればよいかを伝えるからです」。

これは「ロード・オブ・ザ・リング」、「ケルト」、「ロストシティ」などのゲームを制作した世界屈指のボードゲームデザイナー、ライナー・クニツィアの言葉だ。

ゲームのポイントステムは人々の物の見方をすっかり変えてしまうらしく、遊ぶ人は現実を逃避してやる気を出し、心の狭い負けず嫌いと化すから、ときにはイライラしてテーブルをひっくり返したり、互いに怒鳴りあったりする。

実生活では何の価値もない想像上の数字とポイントのせいで、普段は冷静で控えめな人が、急に敵意を見せたりすることもある。

ゲームを研究している哲学者C・ティ・グエンによれば、ゲーム世界におけるポイントシステムの論理が、今では広く社会全体で熱心に導入され、適用されているという

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