「野球ビジネスを変えた男」が群馬で挑む球都再生 千葉ロッテ、パ・リーグ、侍ジャパンの次は…

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筆者は、今、野球の最先端のトレーニング施設の取材を続けている。またNPB球団の練習場も見ている。「ラプソード」も「ブラスト」も、そうした施設では「標準装備」ではあるが、使えるのはプロ野球選手や、施設と契約した選手だけ。当然、費用は高額だ。

屋内のブルペンで「ラプソード」による計測(写真:筆者撮影)

しかし「球都桐生野球ラボ」では、桐生市の助成もあって、安価でこうした機器が使える。

さらに、施設には体成分分析と栄養評価ができる「Inbody」、ワイヤレス計測デバイスを活用したスプリント/反応測定器「WITTY」、センサー内蔵のマットを使用した跳躍力測定器「ジャンプマット」などが設置されている。

子供たちもデータを確かめながらトレーニングできる

また機器の見方やトレーニング法をアドバイスする大学の専門家とも連携している。

「今のトレーニング施設(ラボ)の多くは、ハイレベルのアスリートのみを対象にしていますが、この施設では野球を含むオールスポーツを楽しむ老若男女が対象です。

この施設で、野球少年たちはフィジカル測定とパフォーマンス測定を繰り返すことで、データで確かめながら、能力アップすることができます」

荒木氏は施設の目的をこう語った。

早くも、これらの機器を利用するために、指導者に引率され、チーム単位で子供たちが施設を訪れていた。

幼いころユニフォームをもらった「球都桐生」の父ともいえる稲川東一郎氏の志は、こういう形で受け継がれたのだ。

「野球離れ」が止まらない中、球都桐生から新しい「野球の歴史」が始まろうとしている。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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