「球場にお客を呼ぶには『きっかけコンテンツ』と『感動コンテンツ』があります。きっかけコンテンツは野球に興味がない人を球場に呼ぶコンテンツ。芸能人の始球式でも、花火でも、ビアガーデンでも、北海道物産展でもいい。問題は来ていただいた方に、当初のきっかっけだけではなく、予想していなかった感動を持って帰っていただく仕組みを考えていた。それが感動コンテンツです。千葉ロッテの場合、それは『応援団』でした」
その結果、入場料収入を含む事業全体の売り上げが就任から3年で約4倍に跳ね上がった。
「侍ジャパン」事業の実現に邁進
また荒木氏は、他の5球団と連携してリーグ共同でマーケティングを行う「PLM(パシフィックリーグマーケティング)の設立にも参加する。
さらに2013年からNPBの特別参与として侍ジャパン事業のグランドデザインを手がけた。その後、「侍ジャパン」の運営会社である「NPBエンタープライズ」に執行役員・事業担当として参画し、侍ジャパンの「常設化」、そしてU12の子供から高校、大学、女子野球、そしてトッププロまでが同じユニフォームでプレーする「侍ジャパン」事業の実現に邁進した。
「剛腕」というべき活躍の後、荒木重雄氏はプロ野球時代の仲間などと株式会社スポーツマーケティングラボラトリー(通称SPOLABo)を2009年に設立する。この会社はスポーツに関する様々な事業のコンセプトワーク、立ち上げ、運営、マーケティングなどをワンストップで提供する、スポーツに特化したマーケティング会社だ。また一般企業のスポーツ界への新規参入もサポートする。今度は外部からスポーツの改革を目指したのだ。
インターネット技術に精通し、プロ野球だけでなくJリーグやプロバスケット、アマチュアスポーツなどに精通した荒木氏をはじめとするエキスパートが、スポーツビジネスをトータルでサポートする。SPOLABoは、多く企業、団体を顧客として成長してきた。
しかし近年、荒木氏の脳裏には故郷「桐生」の2文字が浮かぶようになる。
「きっかけはコロナ禍でした。スポーツ団体が活動を停止する中、厳しい局面に入ることが予想されていたが、実際は、各団体が新たな取り組みを模索していたこともあり、逆に多くの相談をいただくケースも増え、役員、社員の頑張りもあり、結果としてコロナも乗り切ることができた。
そんな折に役員たちと恒例の経営合宿に行った際に、『彼らに任せられる』と思ったんです」
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