必要悪の「ムダな会議」は上手にサボれ! 生産的な会議が減っていく「構造的」原因

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アリ型にとって、キリギリス型は組織のルールに従わずに勝手なことをやっている「疎ましい存在」と感じることがあるでしょう。そうして、キリギリス型は少数派として仕事がやりにくくなっていき、アリ型の多数派との軋轢という「職場のジレンマ」が起こることになります。

原理原則を知ったうえで「不条理」に対処する

今回取り上げた「会議」に関する不条理について、上記の構造との関連で考えてみます。

一見、無駄に見える会議ですが、組織というものが存在し、集団がそれを営んでいくうえでは必須のものです。組織が大きくなり分業化が進むに従って、不可欠のものになっていきます。

つまり組織の運営を重視すればするほど、創造性が犠牲になっていくというのは、避けようがない根本的な原理原則だということです。この大原則を理解したうえで、キリギリス型でありたい人は「不条理」に対処していく必要があると言えるでしょう。

目先の社内評価にはあまり興味がなく、「最終的な付加価値」にこだわるキリギリス型だからこそ、それを逆手に取って、大人数会議は上手にスルーして創造的活動を優先してはいかがでしょうか?

幸か不幸か、その会議にあなたが参加しなくても、ほとんど会議の付加価値には影響がないはずですから。

ただし、そのためにはいくつか条件があります。あくまでもこれは「会議に出ない」ことが目的なのではなくて、非効率な会議より創造的な業務に時間を使って、最終的によりよい結果につなげていくことが目的だからです。

当然、そのためには、普段からそれなりの(創造的な)「結果」を出しておく必要があります。「会議をサボる」ほうが実は大変なことも多いですが、当然、結果がでないと「後ろめたさ」からすべての会議に出席することになって、さらに創造的な時間が取れなくなり……という悪循環に入っていきます。

さらに、どうしてもその大人数の非効率な会議に出る羽目になって、かつ派手な「内職」が許されそうもないときにお勧めするのは、なぜその会議がつまらなくて非効率なのかの原因分析をするとともに、自分だったらどういう手段で必要な目的を達成するのかをこっそり考えて、ノートや電子機器にメモするのです。

「不満のあるところにイノベーションのネタあり」です。「不満」→「その根本原因」→「解決策」という発想は、新しいアイデア出しの定番とも言える思考プロセスですが、これをまさに自らの不満から実践してみるのです。不満を逆手に取るという、キリギリス型ならではのトレーニングとなるでしょう。

細谷 功 ビジネスコンサルタント、著述家

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ほそや いさお / Isao Hosoya

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェローとなる。問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。

著書に『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』、『アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く』『問題解決のジレンマ イグノランスマネジメント:無知の力』(以上、東洋経済新報社)などがある。

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