「組織の論理」が「個人の創造性」を押さえ込もうとするのはなぜなのか?
そこには、「アリの思考」と「キリギリスの思考」の価値観や思考回路の違い、対立構造があります。
問題解決やオペレーションが得意な人材は、いわば「アリ型」です。知識はため込む「ストック重視」で、内と外を分ける巣があるがゆえに発想は「閉じた系」で、2次元の世界にとどまっています。内なる組織の論理を優先し、伝統的大企業でのルーチンワークを効率よくこなす多数派です。
一方、新たな問題を発見するイノベーションを得意とする人材は、いわば「キリギリス型」です。知識は使いこなす「フロー重視」で、巣を持たないから「開いた系」の発想ができ、3次元に跳ぶことができます。組織の中では変人と見なされ、保守的なアリからは疎まれがちです。
アリとキリギリスの対比によって、「問題発見のための思考回路」を明らかにした『問題解決のジレンマ』の著者が、「職場のジレンマ」が生じるメカニズムと不条理を上手にやり過ごす方法についてアドバイスします。
第1回のテーマは「会議」です。「キリギリス型」部下のキリ山くんと、「アリ型」上司のアリ田課長が新商品の企画会議の相談をしています。
キリ山くん:来週の企画会議のメンバー、これでよいですかね?
アリ田課長:うーん、今度の商品は新しい切り口だからなあ……。調達部のA課長、営業のB主任、経理のCさん、それに……。
キリ山くん:そんなに呼ぶんですか? 出席者が10人超えちゃいますよ。それじゃまともに議論できないんじゃないですか?
アリ田課長:きみは組織ってものがわかってないねえ……。
「会議の効率化」は、会社の永遠のテーマです。非効率な会議が増えれば、会議そのものの時間に社員のエネルギーが取られるばかりでなく、「無意味な会議」によって、創造的な社員のモチベーションを奪っていきます。
おまけに会議というものは、会議そのものの数も出席者の数も、放っておけば増える一方です。
ではなぜ、よくないこととわかっていながら、会議の数や出席者は増えていくのでしょうか?
そこには、根本的に対立するアリとキリギリスの哲学の違いがあります。
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