グローバリゼーションを誤解する日本人 TXアントレプレナーパートナーズ代表・村井勝氏①

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むらい・まさる 1937年大阪府出身。関西学院大学卒、米カリフォルニア大学大学院でMBA取得。米国IBM入社(後に日本IBMに転籍)。91年コンパック社長就任。98年退社後、数多くのベンチャー企業を育成。2009年11月よりTXアントレプレナーパートナーズ代表。

私は現在ベンチャー支援の仕事をしていますが、日頃から日本の企業、経済に対してたいへん危機感を持っています。米『ビジネスウィーク』は世界の革新的企業50社を発表していますが、1970年以後の創業企業が約4割を占めています。残念なことに、4割の中に日本企業は1社も入っていません。

教育について言えば、英『タイムズ』が世界のトップ200校を発表していますが、日本はたった5校しかありません。トップの東大で26位(2010年)。そういった状況が続いているのに、教育者の方々がなぜ危機意識を持たないのか。不思議でなりません。

最近は「グローバリゼーション」という言葉が使われますが、意味は「英語で話すこと」だと、多くの人がはき違えているような気がします。英語は日本語同様、コミュニケーションの道具です。コミュニケーションとは、相手を説得する力であり、相手を理解する力のこと。決して生易しいことではありません。

日本はグローバリゼーションの入り口にも立っていない

中国やインドはたくさんの民族を抱えています。EUや米国も、国の中に異文化、外国文化が入っている。はたして日本人は、そういった異文化の社会の中で、相手を説得できるようなスキルを身に付けているのでしょうか。多様な人種や民族が集まった、メッシュのようなコミュニティがグローバリゼーションの姿だとすれば、日本企業はその入り口にも立っていないと思います。

私はIBMに勤務していたとき、数え切れないほどのネゴシエーション(交渉)をしてきました。「(ライバルの)日本のメーカーはカラーディスプレーなんだから、白黒ではなくカラーに」「銀行のATMは、通帳記入時に機械側がページをめくるように」といった日本側の要望を伝えるわけです。すると米国の技術者たちは「そんなバカな。コストはどれだけ払えるんだ」となる。

「一銭も払わない」

「そんなビジネスがあるか」

このような交渉を繰り返しながら、相手のカルチャーを知り、相手にどう話したらわかってもらえるかを訓練してきたのです。

尊敬する人物ともいえますが、私はキッシンジャーが好きです。彼は中国とアメリカの橋渡しをしたでしょう。見解が違う、二つの思想をつなぐテクニックを持っている人材というのは、世の中にそんなには存在しない。私がIBM時代に評価を受けたのは、日米のカルチャーの橋渡しをした人間だから、という面もあるかもしれません。

週刊東洋経済編集部
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