起業家予備軍がリスクを取らない日本 TXアントレプレナーパートナーズ代表・村井勝氏②

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むらい・まさる 1937年大阪府出身。関西学院大学卒、米カリフォルニア大学大学院でMBA取得。米国IBM入社(後に日本IBMに転籍)。91年コンパック社長就任。98年退社後、数多くのベンチャー企業を育成。2009年11月よりTXアントレプレナーパートナーズ代表。

私は「定年を機に、実業界から手を引く」と宣言していました。ところが、コンパックを辞めて数カ月もすると、「このままだと早く老いぼれてしまう」と不安に駆られてしまったんです。

そんなときに、IBM時代の仲間から国際電話がかかってきた。

「おまえ、ヒマしているらしいな。だったら俺たちの仕事を手伝えよ」

それが、IT業界のベンチャーを支援する、プライベートエクイティ投資会社のジェネラル・アトランティック・パートナーズの活動だったのです。この会社には三つの特色があります。一つ目は、よそから預かったおカネではなく、自分たちのおカネを出す。二つ目は、ベンチャー企業を支援する時は非常勤取締役を必ず出す。三つ目は、IPO(株式新規公開)の時には株を売らない。

戦後の教育が平均的な人間を育ててきた

これはベンチャー経営者にとってありがたい話です。日本では、ウインドードレッシングといって(株価が高くなるよう)会社を飾って株式を公開し、その後株価がドスンと下落するのが一般的ですから。

手伝うことになって、投資する日本の会社を探しまくったんですが、ジェネラル・アトランティック・パートナーズのお眼鏡にかなう会社は一社もありませんでした。ITやソフトウエアというのは、日本がとても弱い分野なんですね。ところが、こうした活動をするようになったおかげで、私はベンチャー支援の道に入ることになった。

以来、これまで多くのベンチャー企業の失敗例を見てきました。振り返ってみると、事業化が時代より早すぎたケースが多かったと思います。米国式に、もっと最初に資金を投入しておいて、長生きできるようにしておけばよかったのかもしれないけれど、それはできなかった。

日本でベンチャーがなかなか成功しないのはなぜかとよく聞かれます。いろいろありますが、日本では、ほとんどの人が大企業のサラリーマンを志向しますよね。働き盛りの30~40代は、起業家予備軍といえる人たちですが、なかなかリスクを取ることができない。これは、戦後の教育が平均的な人間を育ててきたことに、問題の根っこがある。

リスクを取って成功した場合のインセンティブも足りません。以前、「青色LED」をめぐる日亜化学工業と中村修二氏の特許訴訟がありました。社員にわずかな金額を払って特許を会社のものにしてしまうなんて、そんな話はない。中村氏のように自己主張する方が、もっと出てきていい。そう思うんですよ。

週刊東洋経済編集部
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