愛知県民すら知らない「豊橋うなぎ」のこだわり 県収穫量8割以上占める「一色産うなぎ」との差
地域団体商標とは、地域産業の競争力と強化、地域経済の活性化を目的に特許庁が2006年に開始した制度で、うなぎに関する登録は全国でも愛知県の「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」、静岡県の「浜名湖うなぎ」の3件のみ。
しかし、愛知県民からすれば「一色産うなぎ」と「豊橋うなぎ」の違いが今ひとつよくわからない。すると、夏目さんは「ちょうど今日、池上げをやっていますから一緒に行きましょう」と、本社から車で7、8分の場所にある養鰻池へ案内してくれた。
養鰻池では7人がかりで池全体に張った網を四方から手繰り寄せて、うなぎをかごの中に入れていた。網に引っかかったうなぎは傷めないように細心の注意を払いながら丁寧に扱っている姿が印象的だった。
こだわっているのは飼育に適した水づくり
池上げしたうなぎは、本社へ運ばれて立場(たてば)と呼ばれる施設で1〜2日、餌を与えずかごの上から水を流し続ける泥抜きを行う。泥を吐かせることで臭みが少なくなるだけではなく、身が締まって余分な脂も落ちるため、より一層美味しいうなぎになるという。
夏目さんは池上げしたばかりのうなぎを裂いて、加工主任を務める姉の牧内美奈子さんに手渡した。
「今から直売所で焼きますから、実際に食べてみてください」と、夏目さん。うなぎは大好物なので嬉しい反面、一抹の不安も。何しろ、さっきまで池で泳いでいたうなぎゆえに泥臭くなるのではないか。そんなことを考えていたら、直売店に到着した。
炭火と同じ遠赤外線効果があるうなぎ専用の焼き台で、まずは皮目からじっくりと焼いていく。カリッと香ばしく焼き上げたら、ひっくり返して身を焼いていく。したたり落ちる脂で焼き台から炎が上がる。
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