「適切にもほどがある」若者が入社後に泣いたワケ ビジネスには「ビジネスの適切な価値観」がある
主人公と同じ世代の私でさえ、タイトル通り『不適切にもほどがある!』と思えるシーンはたくさんある。昭和がよくて令和がダメというわけでもないし、その逆でもない。企業が営利を目的としている以上、きつくても、ゆるくてもよくない。
どんなに時代が変わろうと、適切なバランスが大事なのだ。
「適切にもほどがある」若者が直面した社会の難しさ
今回のテーマである「適切にもほどがある」若者について解説していこう。大学3年でインターンに来てから、人事部はもちろんのこと配属先の上司からも注目された若者だった。
姿勢や言動はもちろんのこと、チーム全体を見据えた気の配り方、調整のとり方が絶妙だったという。
人事部のトップが「適切にもほどがある」と表現したかどうかは定かでない。少なからず将来「当社を背負って立つ人財になるに違いない」と信じて疑わないほど、均整のとれた若者だった。
「昔はどんぐりの背比べだったが、最近の若者は違う。優秀な若者は、とことん優秀だ」
人事部長も、このように自慢げに私に言った。大学を卒業して入社したあとは、同期入社の社員をさしおいて、新しい事業の柱を起ち上げる精鋭部隊に配属された。社長直下の営業部だった。
しかし、残念なことに周囲が期待した通りにはならなかった。
入社して半年が経過したころから、その若者は会社に出社しなくなった。軽いうつ状態と診断され、2カ月ほど家で療養することになった。
「大丈夫。気にしないで。焦る必要はない」
と上司から声をかけられたものの、若者は涙を流して謝った。これには上司や周囲もショックだったようだ。
「そんなに厳しくしたつもりはない。何かあれば、自分で抱え込まないでと何度も言ったのに」
どこで彼はバランス感覚を失ってしまったのか。
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