DXが進むことでマネジャーが失う「武器」と変化 専門マネジャーの登場でキャリアはどうなる
ここまでの話をまとめると、マネジャーは、情報格差という武器を失う中、プレーヤーとしてレベルの高いアウトプットを出しつつ、より高度な業務と組織のマネジメントを行うことが必要となってくるのです。
チームの変化
次に、マネジャーが管理するチームがどのように変化するか考えてみましょう。
まず、チームの境界線はどんどん曖昧かつ流動的になるでしょう。ある意味、組織のプロジェクト化、プロジェクトチーム化です。明確に自分の部下だと言える人は相対的に減っていきます。正社員のAさん、契約社員のBさん、外部委託のCさん、隣の部署のDさん(兼務)、IT部署のEさん……といった人々をマネジメント、あるいはコントロールしなくてはなりません。所与のリジッドなリソースを管理するのではなくて、必要なリソースを社内外から集めてきて組織化し、マネジメントして、不要な分は切る(あるいは譲る)ことが求められます。
たとえばあるプロジェクトでは、最初は自分と部下2人程度しか正社員がおらず、必要な人員は自ら要件を定義したうえで集めて、という状況が起こりえます。そして契約社員や業務委託の人を集め、また社外の他組織とコラボすることでプロジェクトを進める、というやり方になるのです。人員数やそのスキルも、プロジェクトの進捗に合わせどんどん変わっていきます。
プロジェクトの期間もどんどん短くなります。アジャイルに、スピーディに試行錯誤しながら新しいサービスを作っていくことが求められるでしょう。こうしたプロジェクトを1つ、あるいは2つ3つ4つとマネジメントするのがこれからの時代のマネジャーの仕事となっていくわけです。
もちろん、あらゆる組織のあらゆる部署がすぐにこうなるわけではないでしょう。重厚長大系の大企業などではその傾向が強いかもしれません。ただ、顧客と接する最前線で新しいプロダクトを生み出さなくてはならないITビジネスや、ITを活用したサービス業などでは、こうした動きはもはや前提となっていくでしょう。そこでいったん「仕事ができる」と評価されたマネジャーはどんどん仕事が集まり、その結果またスキルを上げていくという好循環が生まれるのです。
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