「田舎/夏/恋人消える物語」なぜTikTokでバズる? SNS時代に特化した「ブルーライト文芸」のキャラ

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ブルーライト文芸はTikTokでバズることも多く、特にスターツ出版の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』(汐見夏衛)は出版から4年後に、TikTokで大きな反響を呼び、大ヒットした。TikTokとブルーライト文芸はどうして相性がいいのだろうか。

映画化もされた通称『あの花』。福原遥と水上恒司のW主演で話題となった(amazonより)

「メディア的な特徴として、縦画面の動画と、縦の本の表紙が合致したことがありますよね。また、青くてエモい表紙に音楽を掛け合わせるだけで、“エモさ”が増して、TikTokウケしやすい。

また、そもそも、ブルーライト文芸は実写化されることが多くて、そこで起用される俳優がスマイルアップの俳優だったりする。そのファン層の若い女性が使っているのはTIkTokの場合が多いので、そうした意味での親和性もありますね」

『残像に口紅を』がTikTokでバズったのも納得だ

TikTokと文芸作品で言えば、近年、筒井康隆の『残像に口紅を』がTikTokで大きくバズったことが話題にもなった。

書店での『残像に口紅を』
TikTokでバズったことが、書店でも紹介されている『残像に口紅を』(編集部撮影)

考えてみると、この作品も、言葉が一つ一つ「消失」していくものであり、ヒロインが<消失>するブルーライト文芸の構成に近いものがある。また、エンタメ作品も多い筒井作品の中でも、実験的な作品であり、文学を楽しむ入門編としても最適だろう。

『残像に口紅を』と言えばこの表紙だが、エモくて青い表紙にできる…?(amazonより)

「筒井康隆が受け入れられた背景でいえば、『時をかける少女』も、今発売されていたらきっとブルーライト文芸っぽい表紙だったと思います」(ぺシミ氏)

このように、TikTokとも連動して、それまでブルーライト文芸的に扱われていなかった作品が、ブルーライト文芸的な趣を持って再出版されることも、今後はあり得るのではないかとぺシミ氏は指摘する。

「『世界の中心で愛を叫ぶ』なども、見方によってはとてもブルーライト文芸的です。本多孝好『MISSING』など、loundrawさんが文庫版のイラストを描いたことで、結果的にブルーライト的文芸的な感性に接近した作品もあります。

次ページさまざまな作品が「ブルーライト文芸」に分類されていく?
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