
[著者プロフィル]桜庭一樹(さくらば・かずき)/小説家。1971年生まれ。99年「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞し、翌年デビュー。著書に『GOSICK』シリーズ、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』、『私の男』(第138回直木賞受賞)、『少女を埋める』などがある。(撮影:梅谷秀司)
小説に関する指南書といえば書き方・読み方を説くものがほとんどで、「読まれ方」をテーマとする本は珍しい。直木賞受賞作『私の男』、アニメ化もされたライトノベルシリーズ『GOSICK』、時事エッセイや読書日記など幅広く執筆する作家が、自身の経験したさまざまな読まれ方とその教訓をまとめた。
──小説家の仕事には「読まれることそのものの痛み」が伴う、と。
小説を出版すれば、不特定多数の人が読者になり、感想を持ってくれます。誰かに読まれたいと思って本を出したにもかかわらず、魂を削って書いた小説には作家自身の自己開示という面もあるために、他者に解釈されることで傷を受けてしまうこともあります。
今は、SNSやウェブ小説プラットフォームへの投稿を通じても自分の作品を発表できる時代です。小説を書いて人に読んでもらうことも、読んだ感想を発信することも活発に行える分、多くの書き手が「作品に対して、びっくりするような反応が届いた」という経験もしていると思います。
では、感想や考察、批評として発信される、絶賛から罵倒までの多様な言葉をどう受け止めればよいのか。書き手が心を平穏に保ちながら、読まれることに向き合う方法を考えたのが、この本です。
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