「速醸」「高温糖化」が広がったことで、安定的に日本酒が生産され、価格が安くなったことは間違いのないことです。
しかし、昔ながらの「生酛造り」「山廃仕込み」こそが本来の酒であり、これが「『添加物(乳酸)を使う速醸』によって壊された」と嘆く日本酒ファンも少なくありません。
酒屋も「生酛造り」「山廃仕込み」がどんどん減っていくことを憂いています。私もそこは残念に思います。室町・江戸時代から連綿と続く日本の伝統文化ですから、残ってほしいという気持ちはあります。
日本酒にも「添加物の功罪」がある
しかし、この「乳酸の添加」によって速醸酛を造ることで、大変な重労働から解放され、日本酒が安定生産できるようになったことは間違いありません。
私は『食品の裏側』を発売以降、一貫して「加工食品の裏側」を明かすことで、「添加物の功罪(メリット・デメリット)」を消費者のみなさんに伝えてきました。
添加物の「罪(デメリット)」を避けたい人、「何を食べたらいいか」迷う人のために、15年かけて、「無添加」でも簡単においしい食事が作れる「魔法の調味料」を開発し、レシピ集『安部ごはん』としてまとめました。
ただ、添加物には「安い・簡単・便利」などのメリットがあるのも事実で、こと「添加物の功罪」という視点でいえば、日本酒に関しては「功」のほうが大きいとも私は考えています。
とはいえ、簡略しすぎもいかがなものでしょう。
生米をすり潰して、「乳酸」「アミラーゼ」などの添加物を駆使して造った酒が高く売れているというのは、なんだかおかしな現象のように私には思えてなりません。
いずれにしてもみなさん、ブームや目新しさにとらわれず、ご自分の舌で「本当においしい酒」を選んでいただきたいと思います。
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