「地震発生から自宅倒壊まで3秒」そのとき何が 「絶対」はない、だから考え続けるしかない

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2007年3月25日、石川県の七尾市、輪島市、穴水町で震度6強を観測する「平成19年(2007年)能登半島地震」が起きました。

ちょうどその日、大倉さん宅には0歳の孫を連れた娘が遊びに来ていました。地震が起きて揺れる中、なんとか皆で家の外に出て、津波から避難するため高台に移動した大倉さん。安全が確認されてから自宅に戻ってみると、重たい座卓は遠くに飛ばされ、その上にあった蛍光灯は木っ端みじんになっていました。

もし「地震が来たら机の下へ」と考え座卓の下へ潜っていたら、大きな揺れで飛び上がった座卓にぶつかり、さらに上から降り注ぐ蛍光灯の破片でもケガをしていたかもしれません。

また、別のテーブル近くにも重たい食器棚が移動してきていて、周囲には食器棚から落ちたものが散乱していました。新生児にとって割れたものはすべて凶器になります。

この経験から「地震の大きな揺れが来たときは、机の下に潜っても助からないのではないか」「どんなポーズを取るよりも外に出たほうがいい場合もある」と考えていたそうです。

屋外に出られても危険はあった

ただし、これは、耐震性のある家であっても、家の外に出るのが正解だという話をしたい訳ではありません。

実際に、大倉さんが玄関から外へ出た後、家の横にあった車庫兼用倉庫は、玄関と反対側に倒れました。もし車庫が玄関側に倒れていたら、大倉さんたちは下敷きになってしまうところでした。

倒壊した大倉さんの自宅
大倉さんの自宅。1階は潰れ、手前の車庫は玄関と反対側へ倒壊した。もし玄関側に倒れていたら、大倉さんたちは巻き込まれていたかもしれない(写真:木村悟隆・長岡技術科学大学准教授)

また、大倉さんが揺れで身動きがまったく取れない中、玄関脇にあった軽自動車は、地震の揺れで飛び跳ねていました。

その近くで転び、倒れ込んでいる夫の姿が見えましたが、大倉さん自身も全く動けなかったため、夫の上に「クルマが飛んだ勢いのまま乗りあげてきたら嫌だ」「そうならないでほしい」と願うしかなかったのです。

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