「地震発生から自宅倒壊まで3秒」そのとき何が 「絶対」はない、だから考え続けるしかない

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一般論として、周期(揺れが1往復するのにかかる時間)が1秒から2秒の短い周期の地震は、木造家屋が共振しやすいため、「キラーパルス」と呼ばれています。阪神・淡路大震災(1995年)や熊本地震(2016年)でもキラーパルスがあったと報告されています。

特に熊本県益城町では、前震と本震という2つの大きな地震がありましたが、本震のみであってもその周期が1秒であったことから、倒壊被害に大きく関与したとする論文(村瀬ほか 2018)があります。今回の地震についても今後の分析が待たれます。

正確な時間とは異なるかもしれませんが、大倉さんの場合、おおむね家を出るまでに1秒、そして倒壊するまで2秒だった、ということになります。

わずか3秒しかなかったのなら、地震が起きていくら「外に逃げたほうが安全」と判断しても、玄関付近にいなければ倒壊から逃れることはとても難しかったのではないでしょうか。

耐震改修済の自宅から飛び出した理由

実は、大倉さんのご自宅は、決して耐震性の低い住宅ではありませんでした。2007年3月に能登地方で最大震度6強の地震があった後に、鉄骨の筋交いを7カ所設置する耐震改修をされているからです。

もし、耐震改修をされていなかったら、合計3秒の時間よりも早く倒壊していた可能性も考えられます。

自宅の耐震性が低く、倒壊するリスクをあらかじめ想定している人なら、「地震のときは、すぐに脱出しよう」と決めていると思います。

しかし、耐震改修をして耐震基準を満たしている家なら、地震が起きたら「家の中で頑丈で固定された机の下に潜る」、「(頭を覆い隠すなど)何かしらのポーズを取る」といった対応で大丈夫だと考えている方も少なくないのではないでしょうか。

では今回、耐震改修をした家にいた大倉さんは、なぜ最初の地震の後で玄関付近へ移動し、次に外へ出る決断をしたのでしょうか。それには、2007年の地震による体験がありました。

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