AIで「本当に"働かなくていい時代"」がやって来る 「AIで今後どうなる?」つんく♂が孫さんに聞く

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:むしろ、それをピュアな形で追求しはじめるような気がします。

たとえば江戸時代、庶民はみんな長屋に住んでいましたよね。「宵越しの銭は持たない」という言葉がありますが、貯蓄なんて意味がないとみんなが思っていた。

つまり、裏を返せば将来の不安、老後の不安がなかったんです。みんなで長屋に暮らしているから、どうとでもなると思っていたんですよね。

たとえば長屋の住人の職人さんにどーんとお金が入ってきた。現代の常識でいえば、個人が預金して将来のリスクに備えるでしょうが、当時は銀行もないから「今日はみんなでうまいものを食おう。俺のおごりや!」みたいな感じで楽しくやるわけです。

そのうちまた別の誰かがお金を稼いできて、「今日はわしのおごりや!」となる。それで成り立っていたわけです。

つまり、お金を貯めることのインセンティブがなかったわけです。そういったイメージに近くなるような気がします。

孫泰蔵
日本の連続起業家、ベンチャー投資家。大学在学中から一貫してインターネットビジネスに従事。その後2009年に「アジア版シリコンバレーと言えるようなスタートアップ生態系をつくる」という大志を掲げ、ベンチャー投資活動やスタートアップの成長支援事業を開始。そして2013年、単なる出資に留まらない総合的なスタートアップ支援に加え、未来に直面する世界の大きな課題を解決するための有志によるコミュニティMistletoeを設立。社会に大きなインパクトを与えるスタートアップを育てることをミッションとしている(撮影:尾形文繁)

「お金の価値」が下がっていく!?

つんく♂:今の常識とはだいぶ違いますが、言われてみれば核家族化が進んだのは20世紀以降ですよね。

:そうなんです。「家族がいちばん大事だよね」っていう価値観は、やはり明治・大正以降なんですよね。それ以前は、もっと多様な人間関係があったわけです。

僕が子どもの頃は、田舎だったせいもあって「隣の家でごはんを食べさせてもらいなさい。今日お母さんは遅くなるから」がまかりとおっていました。

隣の人に頼んであるわけでもなく「おふくろがここで飯を食べさせてもらえって言ったんです」と言えば「じゃあ食べていけ」となる。それって、江戸時代の名残なんですよね。今は「コンビニで買いなさい」とか「ウーバーイーツを頼みなさい」でしょうけどね。

つんく♂:そういう意味では、昔のほうが「お金の価値」は低かったのかな。言われてみれば、そういうときに「いくらかかったから」なんていう考え自体、なかったですよね。

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