孫:つんく♂さんもおっしゃったように、「AIに仕事を奪われるかもしれない」みたいな話があるじゃないですか。いやいやそんなことないよとか、いや結構奪われるよとか、そういう議論がされていますよね。
僕も過去に何度もそういった質問をされて、そのときはマイルドに答えましたが、正直に言うと「100%奪われるに決まっています」が答えです。
つんく♂:グーグルやアップルが生活に及ぼした影響どころじゃない?
孫:はい。生活のために働くというか、いわゆるサラリーマン的な、会社に出勤して仕事をするという行為は、すべて奪われます。
「ベーシックインカム」は是か非か?
つんく♂:そうしたら、僕らはどうやって食べていくんでしょう。
孫:おそらく「食べていく」という概念がなくなっていくだろうと思っているんです。
つんく♂:国民全員に一定のセーフティーネットが保障されるんでしょうか。生活保護とかベーシックインカムみたいな?
孫:OpenAI(ChatGPTを開発した会社)のCEOサム・アルトマンは本気でそれを考えていて、彼らはベーシックインカムの社会実験に相当なお金を注ぎ込んでいます。
つんく♂:AIがお金を生み出して、配るだけ? たとえ働かなくても、お金は必要ですよね。
孫:ただ、僕自身はベーシックインカムには少し反対なんです。
全員を救おうという発想には賛成ですが、ベーシックインカムで政府がお金を配ることになれば、国民が政府にどっぷり依存することになる。
政府が「お前にはやるけどお前にはやらない」といったコントロールが可能な社会では、国全体が縮こまってしまうと思います。映画の『マトリックス』の世界みたいに。それって最悪の世界、ディストピアだと思うわけです。
つんく♂:なるほど。ぜひ、孫さんの策を聞きたいです。