外食や中食を利用する側が気を付けるべきことはあるのか。平井さんは「提供されたものをすぐに食べるわけではないテイクアウトやデリバリーは、注意が必要」と話す。
マフィンの事件が起きたのは11月。同月にはほかにも、イベント会場内キッチンカーの一部商品を食べた購入者が体調不良を訴え、保健所がウェルシュ菌による食中毒と断定した事件も発生している。
冒頭に細菌による食中毒は気温が高い時期に多く発生しやすいと書いたが、それ以外の時期に発生しないというわけではない。
「真夏は保冷バッグや保冷剤を利用したり、購入した食品をすぐに冷蔵庫に入れたりして注意を払うのですが、それ以外の時期は油断しやすい。特に外気温は低いけれど、室温は高い春や秋が要注意なのです。また、近年は家の気密性が高まり、外は寒くても室内は意外と暖かいという点も考慮する必要があります」(平井さん)
菌を増やさないポイント2つ
細菌は気温が高いと食品の中で増殖する。菌を増やさないために平井さんは「購入した食品はできるだけ速やかに食べる」「すぐに食べないのであれば、必ず冷蔵庫で保存する」という2点を強調する。もし弁当などで中心部まで火が通っていない食品を見つけたら、食べるのは控えたい。
次に、嘔吐や下痢など体調不良を起こし、外食や中食による食中毒が疑われる場合はどうすればいいのか、平井さんに解説してもらった。
「まずは病院を受診してください。体調不良を診断・治療してもらえます。診断が食中毒であれば(疑いも含む)病院が保健所に届け出て、保健所が原因施設や原因食品、原因物質の調査・特定を行います。自己判断せずに専門機関に任せるのがいいと思います」
なお、食中毒が疑われる症状があるときには、次のことに気を付けたい。
・脱水を防ぐため、水分(白湯や常温の水、スポーツドリンク、経口補水液など)を補給する。
・原因物質によっては重症化する可能性もあるので、早めに病院を受診する。
(取材・文/中寺暁子)
平井昭彦獣医師
1980年、麻布大学獣医学部卒。東京都衛生局、東京都立衛生研究所(研究開発・技術者)、東京都健康安全研究センター微生物部(研究開発・技術者)、相模女子大学短期大学部食物栄養学科教授、2022年から現職。獣医師、衛生検査技師、博士(学術)。
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