相次ぐ「集団食中毒」テイクアウトに潜む"NG行動" 専門家「リスクは気温が高い時期だけじゃない」

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食中毒のニュースが相次ぐと、外食や中食(弁当や総菜など家庭以外の場所で調理・加工されたものを購入して食べること)を利用することに不安を感じる人もいるだろう。

外食や中食は、自炊して食べるよりもリスクがあるのだろうか。平井さんは「必ずしも外食や中食のほうがリスクが高いとは言い切れません」としたうえで、こう説明する。

「家庭では食中毒を起こしても軽症で受診しなかったり、食中毒だと気づかなかったりすることが多いですが、外食や中食を利用して症状が出た場合は、食中毒を疑って受診につながりやすくなります。医師は食中毒と診断した患者、もしくは疑いのある患者を診た場合、保健所に届け出なければなりません。このため、外食や中食での食中毒は表面化しやすいといえます」

昨年、集団食中毒が目立った背景

昨年、集団食中毒が目立った背景には、どのようなことが考えられるのか。平井さんの見解はこうだ。

「1つには、食品提供者の食品衛生に関する知識不足があるのではないかと思います。また、通常より大量の注文を受けるなど、店の規模や調理能力を超えた数を作る場合などではやるべきことが増えて、食品衛生の基本を守りにくくなることも考えられます」

食品を調理、製造、加工、販売するには、食品衛生責任者を配置することが、食品衛生法によって義務付けられている。食品衛生責任者の資格は、各自治体などが開催する養成講習会(6時間程度)を受講して、食品衛生に関する知識を学ぶと取得できる。

飲食店を営業開始する際や、営業許可更新の際は、保健所の食品衛生監視員などが、施設や設備の衛生状況をチェックし、指導する。

食中毒は飲食店にとって死活問題となるので、食品衛生に関しては優先的に取り組んでいるはずだ。ただ、食品衛生責任者は一度取得すれば更新の必要はなく、平井さんは新たな知識の追加に課題があるという。

腸管出血性大腸菌(O157など)が初めて検出されたのは1982年、食中毒の代表格ともいえるノロウイルスが命名されたのは2002年、寄生虫によるヒラメや馬刺しの食中毒が「食中毒」として扱われ、厚生労働省の食中毒統計に載るようになったのは2011年だ。

「現在も食中毒に関する情報は更新されているので、何十年も前に資格を取得した人は、新しい情報を知らない可能性があります。各地の保健所では食品衛生に関する講習会を毎年開催しているので、定期的に受講して新しい情報を入手する必要があります」

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