日本人は、だから「うつ」になってしまう

うつが「働けなくなるリスク」の最大要因

働けなくなるリスクに備えるのも、保険の重要な役割(写真 : tooru sasaki / PIXTA)

あなたが病気やケガで働けなくなったとしましょう。そのため会社を休まざるをえなくなりました。有給休暇を使い果たしてしまうと、収入がカットされ始めます。さらに職場に復帰出来ない状態が長く続くと、いよいよ収入が完全に途絶え、生活ができなくなります。これが就業不能リスク、「働けなくなる」リスクです。

しかし当面は大丈夫です。幸いなことに日本では、最低限の公的保障制度が整備されています。健康保険制度から支給される傷病手当金です。働けない、給料が払われない、などいくつかの条件が満たされると、標準報酬の3分の2相当の金額が最長1年6カ月にわたり支給されます。読者の中には、この制度の恩恵に浴した方もおられるかもしれません。

米国には、傷病手当金のような公的制度が原則としてありません。その代わりに「働けなくなるリスク」のための保険が普及しています。民間保険会社が取扱う、就業不能保険です。多くの企業が従業員のためにこの保険を採用しています。米国では、良い人材を確保するため、会社が保険料を負担して就業不能保険を従業員に提供することが一般的です。個人で加入する人も多くみられます。

ところで、米国の「就業不能保険」と日本の「傷病手当金制度」の支払いの内訳をみると、ある事実に驚かされます。それは、職場における「うつ病」の日米の違いです。

日本で急増しているうつ病による休職

日本の傷病手当金の支払いは、年間約10万件です。支払事由のトップが「うつ」を中心とする精神疾患系の疾患で、全体の25%以上を占めています。しかもこの15年間で4倍以上に急増しています。特に若年層(20~39歳)では、なんと40%を超えています。

いったんうつ病になると、なかなか職場復帰が難しい、という特徴が見られます。支給期間もほかの病気を大きく上回り、平均すると220日です。また支給が何回にもわたっており、このことから繰り返し再発しやすい病気であることがわかります。ようやく職場復帰しても、しばらくするとまた休職を繰り返す、まさに現代を象徴する厄介な病気と言えるでしょう(平成25年全国健康保険協会調査)。

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