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「人の話をよく聞く」トップが大企業で増えた必然 「人本主義的な経営」が見直されている

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  • 名和 高司 京都先端科学大学ビジネススクール教授、一橋ビジネススクール客員教授
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では、どうしたら我々は「資本」から主権を奪い返すことができるのか。

一般に、経済活動を構成する要素は「ヒト・モノ・カネ」とされます。このうち、モノやカネにばかり軸足を置いた経営が限界を迎えているのは、ここまで述べてきた通りです。そうなると、残るは「ヒト」しかありません。

パーパス経営とはまさに「人を中心に据えた」経営論。だからこそ今、注目されているのです。

日本では当たり前だった「人本主義的な経営」

ここまで読まれた読者の方は、「人を中心にする経営とは、日本が昔からやってきたことに他ならないのでは?」と思われたかもしれません。

その通りです。

日本では、ヒトが経済や企業活動の主体だという考え方は、ずっと以前から当然のこととしてとらえられてきました。古くは江戸時代にもその萌芽がありましたし、明治時代の産業の発展、戦後の経済成長の根幹にも、ヒトを中心とした経済活動がありました。

経営学者の伊丹敬之氏が著書『人本主義企業―変わる経営変わらぬ原理』(筑摩書房、1987年)の中で「人本主義」を唱えたのは、三十数年前のことです。日本企業の成長の原動力はヒトを基軸とした日本型システムにあると述べており、まさにパーパス経営の原点と言えます。

しかし残念なことに、その直後、バブルが崩壊し、日本経済は急激に悪化しました。そのため、人本主義はバブル崩壊を引き起こしたさまざまな問題と同一視され、時代遅れのものとされてしまったのです。

そして、その間隙を埋めることとなったのが、前述の「市場原理」だったということです。

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