「人の話をよく聞く」トップが大企業で増えた必然 「人本主義的な経営」が見直されている

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なぜ人は「資本」の魔力から抜け出せないのか。それは、資本家や企業人そのものが、資本の自己増殖の奴隷になってしまっているからです。

資本の本質は、カール・マルクスが指摘したように「自己増殖する価値の運動体」です。そして資本主義とは、資本が主体として再生産を繰り返すことで、社会の成長を目指すことです。

資本主義の「魔力」

1976年、イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンス氏は「利己的な遺伝子」論を唱えました。

生物の遺伝子は生き残るために手段を選びません。遺伝子は自己の成功率(生存と繁殖率)を他者よりも高めることを考え、寄生している生物さえもたやすく乗り換えます。遺伝子にとっては、生物は自らの複製を残すための「乗り物」にすぎません。利己的な遺伝子論とは、簡単に言えばそういうことになります。

私には、資本もまた、遺伝子のように自己増殖しているように思われてなりません。

資本は放っておくと果てしなく自己増殖を求め、その増殖運動に振り回され、人間は資本の奴隷として働かされます。かつてマルクスは、そのことを「労使の対立構造」ととらえました。

世界に広がる富の偏在は、資本家の野望の結果というよりは、資本家や企業人をこのような行動に駆り立てる資本そのものの遺伝子の仕業ではないでしょうか。

それが、世界最高の知性と言われるような人々ですら、この資本主義の魔力から抜け出せない理由なのではないかと思います。

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