歴史上の「絶世の美女」はどんな顔をしているのか 現代に残る絵巻物や浮世絵からわかること

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(写真:zak/PIXTA)
歴史上の美人はいったいどのような顔をしていたのでしょうか。また、現代の感覚とは異なる「不美人」とは? 東京大学史料編纂所の本郷和人教授の著書『愛憎の日本史』より一部抜粋・再構成してお届けします。

四国に日本版「夏姫」がいた?

歴史上、美しい女性は何かと騒動の種になりがちなものです。有名なところでは、春秋時代に中国に存在した女性・夏姫などの女性がいます。なお、日本の場合は高貴な家に生まれた女性のことを「姫」、すなわち「プリンセス」と呼びますが、中国では意味合いが違います。中国では、漢字二文字でその女性のことを表しますが、二文字目の漢字は、実はその人が生まれた家の姓を指します。

夏姫の場合の「姫」は、周王室の姓である「姫(き)」を意味します。夏姫の場合は、周王室の血を引く鄭の穆公の娘であり、夏御叔に嫁いだから「夏姫」と呼ばれていたのです。

この夏姫について、作家の宮城谷昌光先生が『夏姫春秋』という本で書いていますし、僕自身は海音寺潮五郎先生の著作で夏姫の半生を知りました(とはいえ、『中国妖艶伝』(文春文庫)ではなかったようです。なんという作品だったのかは思い出せません……)。

夏姫はとにかく絶世の美女だったので、彼女を巡って多数の争いが起きたため、「傾国の美女」として知られました。彼女にまつわる数々の色恋沙汰は大変興味深いのですが、何よりも強く興味をひかれたのがその年齢です。どう考えても彼女が最後の色恋沙汰に巻き込まれたときは、軽く五十代を超えている。

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