漫画やアニメでは今や異世界転生はありふれた主題だ。異世界の者と恋愛や結婚をする物語も多い。とはいえ、人外の者との結婚は決して最近の発明ではない。「鶴の恩返し」「浦島太郎」「一寸法師」──。皆が知る昔話にも、動物や異界の者など異類との婚姻が描かれているではないか。本書の主題はそんな「異類婚姻譚(たん)」である。
昔話に刻印された社会観
異類との結婚は、科学づいた現代ならずとも荒唐無稽な物語かもしれない。しかし、人々が想像力を巡らし、語り継ぐに当たって、物語にはその社会が刻印されているに違いない。そう著者はいう。
例えば、「鶴の恩返し」では、主人公が財をなすのを美しい女性に姿を変えた鶴が助けるが、正体を知られると飛び去ってしまう。このように異類の女がやってきて結婚生活を送るが去っていくという「異類女房譚」の構成は日本特有なのだという。
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