日本人の「お金さえあれば大丈夫」信仰が危険な訳 田内学×銅冶勇人「お金か仲間か」対談【前編】

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田内:12って両方6が出なきゃいけないから出にくいはずなのに、銅冶さんは自信満々に、「僕はここぞというときには必ず12を出すんです」って言ったんです。

数学の知識が必要なトレーディングデスクの採用なんで、まあ落としました(笑)。

銅冶:落とさないでくださいよ(笑)。

田内:でも、その次の4月に営業で入ってきたんですよね。

お金よりも仲間が大事な理由

田内:一緒に働いていたとき、銅冶さんが、僕の扱う商品をお客様に説明するシーンがあったんです。

田内さん
田内 学(たうち・まなぶ)/金融教育家。1978年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。 2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日本銀行による金利指標改革にも携わる。 2019年に退職してからは、佐渡島庸平氏のもとで修業し、執筆活動を始める。著書に『お金のむこうに人がいる』(ダイヤモンド社)、高校の社会科教科書『公共』(共著、教育図書)、『10才から知っておきたい 新しいお金のはなし』(監修、ナツメ社)などがある。『ドラゴン桜2』(講談社)、『インベスターZ 番外編「人生を変える!令和の投資教育」』(コルク)でも監修協力。 お金の向こう研究所代表。社会的金融教育家として、学生・社会人向けにお金についての講演なども行う(画像提供:田内学氏)

伝えられるか不安だったので近くで話を聞いていたら、お客さんも心配していて、「銅冶君、よかったら僕がトレーダーに説明しようか」って(笑)。

これってすごいことで、普通は、自分で説明できるようにしなきゃいけないんだけど、お客さんが助けてくれる。お客さんが「仲間」になっているんです。銅冶さんは、仲間を作るのがめちゃくちゃうまい。だから、自分でできなくても助けてもらえるんですよね。

銅冶:すごいって言ってくれましたけれど、努力しろよって言われてもおかしくない、僕のダメな部分でもあります。

でもお客様も味方になってくれて、一緒に戦ってくださる方が多かったんです。

田内:今の世の中では、英会話スクールで英語を教えてもらったり、ベビーシッターを雇って子どもの面倒を見てもらったりするように、お金を使って味方や協力者を作っているけれど、得意な人と仲間になったら、お金を払わなくても助けてもらえるんですよ。

銅冶さんは、僕にはできないことをやっていたので、当時からすごいなと思っていました。

銅冶:銅冶だからやってやるよ、と言ってくれる仲間を何人見つけられるかと考えたとき、日頃から自分に魅力を感じてもらう行動が必要だなと思ったんです。

田内:仲間づくりのために、狙ってやっていたことってありました?

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