日本人の「お金さえあれば大丈夫」信仰が危険な訳 田内学×銅冶勇人「お金か仲間か」対談【前編】

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銅冶:負の連鎖を止めるためには、継続的に彼らが自走できる仕組みが必要なんです。彼らが自走できる教育の仕組みを作るために、僕たちは公立の学校を作って、運営は全部現地の人たちにしてもらっています。

自分たちが自然にフェードアウトしても、継続的に自走できるような仕組みを作ることが大事なんです。これは、アフリカに限らず、今の日本の社会や教育の中にもいえることかもしれません。

田内:日本は自走しているように見えるけど、エネルギーや食料はほとんど外国に頼っているから、物価が高くなっちゃっています。

ガソリンなどでは、値上がりに対して国が補助金出せばいいという話が出ますが、結局自分たちで作れないと困ることが、アフリカの話を聞くとよくわかりますよね。

目先のお金しか見えていないと、物価高だから会社に賃金を増やしてもらおうとかになるけど、そういうことじゃないんですよね。

銅冶:他力本願では、何も解決しませんよね。

日本の自走に必要なこと

田内:今の日本が自走するためには、何が必要だと思いますか?

銅冶:日本は選挙での若者の投票率が低いですけれど、政権がなんだとか結局金だよねとか、もやっとした決めつけをしちゃっている人が多いなと思うんです。

自分ごととして考えられる人を増やしていかないと、他力で何かが決まる国になってしまう。

1人ひとりが責任を持った行動をとれる国にするために、1つひとつを自分ごとだと考えること。これが自走に繋がっていくと僕は思います。

田内:小さなことですけど、「どこで物を買うか」って重要なんです。

小さい国だとなるべく自分の国の製品を買うし、僕の小説に出てくる男の子は商店街に住んでいるから、自分の商店街で買うんです。

それを踏まえて、たとえば本をリアルの書店で買うか、Amazonで買うか。そういう1人ひとりの選択の集合体で今が作られているし、未来も作られていくことを認識するだけでも変わるんですよね。

銅冶:本は、丸善ジュンク堂書店さんで買ってください!(大声)

田内:うわっ。一気に書店員さんの心をつかんだねえ。さすがです(編集部注:この対談は、ジュンク堂書店 池袋本店で行われました)。

でも、本当にそれは大事なとことなんです。お金を支払う先には、人がいるんですよね。銅冶さんのように人が喜ぶことを知ることや、人と人とのリアルな繋がりも大事だと思います。

銅冶:自走って、自分が責任を持った言葉を発せられたり、行動ができるということで、考えてみたら当たり前ですごくシンプルなことなんです。

(構成:川口玲菜)

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。

著書に「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞した『きみのお金は誰のため』のほか、『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)などがある。

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銅冶 勇人 DOYA CEO/NPO CLOUDY 代表理事

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どうや ゆうと / Yuto Doya

1985年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。2010年に特定非営利活動法人CLOUDYを設立。ケニアのスラムに住む子どもたち教育・雇用支援を開始。2015年にアフリカ・ガーナでの雇用創出を目的としたファッションブランド“CLOUDY”をスタートし、これまで約630名のワーカーを雇用。現在7つの学校を運営し、これまで約3,800人の生徒に教育の機会を提供。CLOUDYとNPO CLOUDY二つの組織でクリエイティブとビジネスを循環させ、アフリカの自走を実現する。

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