日本人の「お金さえあれば大丈夫」信仰が危険な訳 田内学×銅冶勇人「お金か仲間か」対談【前編】

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もっと言うと、その寄付された洋服がゴミになっちゃうこともある。ここはガーナのアグボグブロシーという場所で、もともとは川だったんです。

川がゴミであふれている様子
川がゴミであふれている、ガーナのアグボグブロシー(画像提供:銅冶勇人氏)

田内:川? たしかに左側に少し水が流れていますね。

銅冶:彼らの生活のゴミもありますけど、我々先進国のゴミもここにあふれていて、ガーナの首都「アクラ」に東京ドーム35個分くらいの埋め立て地があるんです。

アクラの人はゴミを燃やしてその空気を吸って生きているので、住民20万人の平均寿命が30代と、寿命が短くなってしまっています。

田内:先進国はお金を払ってゴミ問題を解決したつもりだけど、問題解決を押し付けているだけで、国で余った服も含めて捨てられているってことなんですよね。

アフリカにも日本にも必要な「自走」の仕組み

田内:銅冶さんは、アフリカの負の連鎖を食い止めようと取り組んでいるんですよね。

銅冶:はい、特に大きなテーマとして取り組んでいるのが教育です。

教育を受けないと、親と同じ所得しか得られない生活になる「負の連鎖」が止まらないので、最初は教育の提供からスタートしました。

教育が必要ということで、いろんな団体が途上国に学校を作っているんですけれど、実際はほとんど継続できずに、ただの箱になっています。

田内:はじめの箱は、お金を出したら作れますもんね。

銅冶:その後もお金を投じ続けなければ運営ができないので、サステイナブルなサポートになっていなくて、一時的な夢しか見せられていない状況もあります。

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