「やはり最も大きなリスク因子は、飲酒です。そのほか喫煙、脂っこい食事、急性膵炎を繰り返すこともリスクになります。そのほか遺伝的に膵炎になりやすい人がいることもわかっています」と正宗さん。
1日に純アルコール60g(缶ビールのロング缶2本くらい)以上を飲む人は、まったく飲まない人に比べて9.2倍も慢性膵炎になりやすいとされている。純アルコール40gくらいでリスクは2〜3倍程度。これでも問題だが、60gを超えると大幅にリスクが上がってしまう。
慢性膵炎は3つの進行期がある
慢性膵炎は、急性膵炎と違って基本的には完治することはない。しかし、適切な治療によって病気の進行を抑え、できるだけ長く膵臓の機能を維持し続けることはできる。
その病期は膵臓の機能が残っているかによって、「代償期」と「非代償期」、その間の「移行期」にわけられる。
代償期は、まだ膵臓の機能が残っている時期であり、痛みが症状の中心となる。膵臓は胃の後ろ側にあるため、上腹部や背中に痛みを感じたり、ときに急性膵炎の発作を起こす。
「お酒を飲んだ後や、脂っこいものを食べた後などに腹痛や背部痛が起こることが多い。キリキリとした痛みだけでなく、じわっとした痛み、重苦しさを感じる場合もあります」(正宗さん)
移行期には痛みの頻度や程度が軽くなり、よくなったように感じるが、膵臓の機能は低下していて、むしろ病気は進んでいる。発症から5〜10年が過ぎて非代償期になると、膵臓が機能しなくなっているために、さまざまな問題が生じてくる。
「膵臓の外分泌機能、すなわち消化酵素を含んだ膵液の産生や分泌が低下すると、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質といった3大栄養素の消化吸収に支障が出てきます。これを『膵外分泌機能不全』と呼びます」
と正宗さん。こうして消化不十分な食べ物が大腸に送り込まれると、お腹の調子も悪くなる。
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