週に1回は「英語部屋」にこもりなさい! 英語上達のための、究極の「脳トレ」法
安河内:なるほど。私もよく「私たちは日本人なんだから、英語でものごとを考えるなんて無理ですよね」と、生徒に聞かれます。でもこれは、誰でもできるようになりますよね?
加藤:なります。ただ、そのためには、ある程度「日本語をシャットダウンできる時間と空間」が必要になってきます。
安河内:「英語しか使わない、時間と空間を作れ!」ということですね。
低コミュ力の日本人が、リスニングを伸ばすコツ
加藤:まだ「英語の回路」ができていないときの話ですが、一度日本人と話してしまうと、次の瞬間、英語が出てこなくなることに気づきました。脳が、より得意な「日本語の回路」を優先的に使ってしまうわけです。
安河内:つまり、どんなに頑張っても英語しか通じない、英語しか使えないという状況に自分を入れることが、英語脳を作るいちばんの近道だということですか。
加藤:そうです。私の場合、多国籍の研究チームにいたのですが、そこの所長はトルコ人でした。まわりの研究者たちの中でも、日本人は私一人。しかも、最先端の研究室でしたから、飛び交う単語を辞書で調べようとしても、出てこない。英語でそのまま覚えるしか方法がなかったわけです。
たとえば、Hippocampus は辞書に載っている単語ですが、わからないと仮定します。脳の資料を見ながら、何度もみんながHippocampus という単語を話している。どうもこれは大脳辺縁の一部分のことを言っているらしい、と。じゃあ、「ここ」がHippocampusか、と。こうやって、Hippocampus(海馬)を覚えていくイメージです。こうして覚えると、「音声」と「視覚」と「実体」が繋がるので、英語で覚えていくわけです。
安河内:なるほど。そうやってリスニングやスピーキングを克服されたわけですね。
加藤:今は、リスニングはほとんど聞こえるようになりましたが、しばらくアメリカにいっていないと、1週間くらい、慣れるまでに時間がかかりますね。
安河内:私も同じような経験があります。アメリカに行くと、到着直後は英語につまるんです。10日くらいすると、スラスラ話せるようになります。
加藤:しばらく日本語を話していないと、先ほど話した、「言語回路の優先順位」がシフトするわけですね。私の場合は、もともと日本語も得意じゃないので、10日もすると日本語が不自由になってしまいます(笑)
逆に、アメリカで育ったバイリンガルの息子は、両方の回路がしっかりしているので、すぐにスイッチできるんです。
安河内:なるほど。そうした環境設定が、英語の回路を鍛えていくわけですね。
加藤:そうですね。そういう環境であれば、「生活感」とともに聞くこともできるわけです。たとえば、アメリカ時代は、銀行に行っても間違えることがあるので、必死になって見たり聞いたりしていました。スーパーのレジも、かなり間違って打ち込まれます。そういう事務作業の場面では、間違いがとても怖いので緊張して見聞きしますよね。
海外旅行で店員さんに商品の説明をしてもらったり、商品を購入したりしてもよいと思います。
安河内:ありますね! 私も外国の書店で本を買うと、「Do you have a membership card?(メンバーカードを持っていますか?)」なんて聞かれます。
向こうは、毎日何百人ものお客さんに話しているので、ものすごく早く、省略形で話してきますよね。こうした体験を潜り抜けると、上達を実感できますよね。
加藤:そうそう。しかも、相手はスペイン系やらインド系やら、ありとあらゆるアクセントで話してくる。そうしているうちに、さまざまな人種、年齢、職業、の人たちの英語が入ってきて、リスニングにも幅が生まれてきたわけです。
安河内:英語は、「実感」と共に聞け! ということですね。
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