週に1回は「英語部屋」にこもりなさい! 英語上達のための、究極の「脳トレ」法
安河内:非ネイティブなのに英語が話せるようになった人って、「話せるようになる性格」があるんじゃないかなと思うんですよね。
加藤:確かに、性格というか、特徴はありますよね。英語が得意な人というのは、脳の中の意思疎通を司る領域である「伝達系脳番地」や、音声情報を処理する「聴覚系脳番地」が基本的によく発達しています。これは日本語を使っていても発達するのですが、普段から歌を歌うのが好きだったり、おしゃべりが好きだったりするなど、音や言語を積極的に使う人に多い特徴です。
話せるかどうかは、「開き直り」で決まる
加藤:一方の私といえば、新潟の田舎町で育ち、子どもの頃は祖母に寝ながら昔話を聞かせてもらうくらいで、これらの脳番地は育っていません(笑)。つまり、日本語自体、あまり得意ではなかったんです。
安河内:そこなんですよね! 先生は、「英語ができない」と開き直っていらっしゃいますよね。
加藤:確かにそうです。ただ、開き直るまでは時間がかかりましたね……。これまで何度も国際学会で脳の研究を発表しているのですが、当時はカンペを丸暗記して、直前までガクガクブルブル震えるほど緊張していました。もう、英語に対する苦手意識は半端じゃなかったわけですから。
ただある時、国際学会で突然発表することになったんですよ。カンペなんか用意している時間がまったくなくて。
それで、もう単語をつなぎ合わせて、アドリブ英語だけでプレゼンしたんですが、1000人単位の聴衆が、帰らずに聞いてくれる。しかも、終わった後に研究者たちからいろんな質問を受けたんです。その時思いましたね。「あぁ、そうか。私がやってきたことについて、彼らは何にも知らなかったんだ!」って。自分で言うのもなんですが、その時の研究は世界的にも新しい研究だったんです。「興味がある話」に対しては、発音が悪くても、多少文法がおかしくても、相手は聞こうとするんだと。
安河内:以前、コメディアンのKaoriちゃんと対談したときに、「Kaoriちゃんの英語は、ジャパニーズ・イングリッシュだよね」と話したんです。そうしたら、彼女は「いいんです、私は面白さだけで勝負していますから!」と答えたんです。つまり、先生の場合は「脳科学の内容」で勝負したわけですよね。
加藤:そうです。サイエンスの舞台では、研究結果とその考察がすべてであって、それ以外はゴミみたいなものなんですよ。
アメリカに渡った直後、まったく話せなくて、ラボの先生に「日本人のいるところで研究したら?」と言われたんですよ。そこで、トップジャーナルに載った研究論文を見せたら、「こんな論文、お前が書けるのか⁉」と。この顔でこの英語で、この論文? とバケモノを見るような目で見られましたね(笑)
これはビジネスの世界でも同じで、たとえば「儲かるかどうか」以外の話は、相手は興味がない。
安河内:考えてみればそうですよね。学会では、聴衆は加藤先生の研究に関して興味があったから会場にいたわけであって、英語の発音になんか、誰も興味がないわけですよね。そこに気が付けるかどうかというのは、英語を使って海外で仕事をする上で、とても大きかったんじゃないでしょうか。
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