利用者4.8倍増!笑顔を生む手指消毒器の秘密 つい試したくなる仕掛けはこうして生まれた

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なお、投票するためには両方のパンの味見をしなければならないことも重要である。食べたことのないものは、購買対象の候補(考慮集合)には入らない。試食して美味しかったパンは考慮集合に入り、今後購入される可能性が高まるので、この仕掛けは販売促進の仕掛けにもなっている。

休憩ガチャ

報告、連絡、相談の頭文字をとった報連相は社内コミュニケーションの基本であるが、不十分だと感じている組織は多い。そこで、2019年10月1日(火)から2019年10月31日(木)の平日にかけて、ある企業(社員数116名)の休憩室に仕掛けを施したカプセルトイを設置した。

カプセルトイの中には、ヘルシーなお菓子を入れたカプセルと、ミッションが書かれた紙を入れたカプセルを同数入れた。ミッションは、「朝礼で有益な情報を共有してください」「業務で接する機会が少ない仲間に話しかけてください」などコミュニケーション促進に関する21種類と、「ストレッチをしてみよう」「今週はなるべく階段を使用してください」など健康促進・リフレッシュに関する21種類からなる。

また、カプセル回収ボックスを2つ用意し、それぞれに「行動をする」「行動しない(お菓子のカプセル)」の張り紙をつけ、カプセルを捨てる際に行動するかしないか意見を表明してもらうようにした。

ガチャガチャ
思わず回したくなるカプセルトイ(写真提供:平康慶浩)

カプセルトイの設置期間終了後にアンケートを実施したところ、「行動する」にカプセルを入れたことをきっかけとして実際に行動を起こした人が、コミュニケーション促進で50%(22人中11人)、健康促進・リフレッシュで59%(17人中10人)いたことがわかった。

仕掛けは、したい理由を作ってあげることで、優先順位を高めるものである。優先順位さえ高くなれば、あとは行動できるまで自分でやりくりして、さまざまな阻害要因をすっとばしてくれるだろう。

著者は、行動の選択肢を魅力的に見せることを「そそる」と呼んでいる。

そそる仕掛けは、場合によっては面倒になったり、余計に時間がかかったりすることもある。しかし、したいこととのトレードオフなので、したいことの優先順位が十分に高くなれば問題ないのである。

松村 真宏 大阪大学大学院経済学研究科教授

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まつむら なおひろ / Naohiro Matsumura

大阪大学大学院経済学研究科教授。1975年大阪生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。2004年より大阪大学大学院経済学研究科講師、2007年より同大学院准教授を経て現在に至る。2004年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校客員研究員、2012~2013年スタンフォード大学客員研究員。趣味は娘たちを応援することと、猫のひじきと遊ぶこと(遊んでもらうこと)。

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