利用者4.8倍増!笑顔を生む手指消毒器の秘密 つい試したくなる仕掛けはこうして生まれた

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2016年9月10日(土)、11日(日)にライオンの口型手指消毒器および普通の手指消毒器を3時間ずつ設置して利用人数を計測したところ、ライオンの口型手指消毒器は215名(大人101名、子供114名)、普通の手指消毒器は45名(大人18名、子供27名)であった。同じ手指消毒器を用いたが、ライオンの口の中に入れるだけで利用者数が4.8倍になった。

なお、不意にアルコール消毒液が噴霧されるので多くの人は驚いて叫んだりするが、その後は笑い出す、という状況がよくみられた。仕掛けは利用人数だけでなく、利用者が笑顔になるかどうかも重要な評価指標になることに気づかせてくれた実験であった。

試食投票

試食を用意しても、意外と試してもらえない。なにかしらの施しを受けるとお返しをしないと申し訳ないと思う返報性の原理が働くが、パン屋さんだとお返しをする手段がパンの購入しかなく、それが心理的な抵抗になるのだと考えられる。

パンの試食投票
あなたはどっち派?でどちらも試食したくなる(写真提供:板谷祥奈)

気軽にお返しができる手段があれば心理的な抵抗を下げることができ、試食へのハードルが下がるはずである。そこで、2種類の試食のパンの前に「あなたはどっち派? 人気投票!」の札を立て、試食で使用した爪楊枝を使って投票できる試食投票を当時のゼミ生たちと考案した。アンケートに答えることがお返しになり、返報性の原理が満たされることを期待した。

2016年8月26日(金)から9月15日(木)にかけて、大阪大学豊中キャンパスの近くにある石橋商店街のパン屋さん「タローパン」にて、通常の試食と試食投票を交互に行って利用人数を計測する実験を行った。その結果、通常の試食のときは来店者のうちの約11%(460人中52人)が試食をしたのに対し、試食投票のときは来店者のうち約20%(521人中104人)が試食して投票した。投票の仕掛けによって利用者が1.8倍に増えたという結果になった。

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